外傷性脳損傷に対する言語療法
外傷性脳損傷(TBI)を負うと、コミュニケーションや認知機能に障害が生じ、独立した生活が困難になることがあります。障害の程度は損傷の範囲によって異なります。外傷性脳損傷の主な合併症には、頭蓋骨骨折、血腫、神経損傷、脳浮腫などがあります。TBI後は、話すことや書くことに必要な言葉が出てこない、会話のやり取りがうまくできないといった言語・社会的コミュニケーションの問題が現れることがあります。言語療法はこれらの症状を改善し、コミュニケーション能力や認知機能の回復を支援します。
目標
- 認知機能の向上、基礎的な数数えの再取得、綴りや筆記の復元、記憶喪失の改善を目指します。回復段階ごとに異なる治療法が用意されており、各々が脳の特定領域の機能向上を狙います。
ステージⅠ:初期治療
- 言語療法士と患者の間で意思伝達手段を確立することに重点を置きます。まずは「はい」・「いいえ」を示す方法を学び、質問に応答できるようにします。また、感覚運動刺激(触覚、聴覚、嗅覚、視覚)を取り入れ、感覚覚醒を図ります。ステージⅠの終了時には、まばたきやうなずき、簡単な手振りなどの基本的なジェスチャーができるようになることが目標です。
ステージⅡ:認知機能強化
- 判断力、計画力、組織化、知覚、記憶、抽象的思考など、認知スキルを対象に訓練します。患者の自立度と環境コントロール能力の向上を目的とし、課題を通じて組織化能力や集中力を高めます。
ステージⅢ:機能回復と自立支援
- 最終段階では、日常生活での機能回復と自立を支援します。恒常的に残る障害に対処する方法や、周囲の空間での移動・行動方法を学びます。混乱した際に質問を投げかける、主旨や考えを書き留めて整理する、視覚イメージを活用して記憶を補強する、思いついた言葉や考えを口に出す練習などを行います。
