聴覚障害者が電話でコミュニケーションするためのテレタイプライター(TTY)
聴覚障害者や難聴者は、テレタイプライター(TTY)と呼ばれる装置を使って電話回線上で文字を入力し、相手と会話できます。TTYはキーボードとディスプレイで構成され、既存の電話回線に接続してメッセージの送受信を行います。利用者は入力時間を短縮するために独自の略語を用い、電話交換手もTTYの操作方法を学んで対応します。
歴史
1960年代、聾者の物理学者ロバート・ワイトブレヒトがTTYを聾者向けに改良し、音響カプラーを開発しました。これにより、電話回線からの電気信号をTTYのキーボードに変換し、文字として表示できるようになりました。1970年代に携帯型モデルが登場し、1980年代にはTTYモデムが普及。1980年代後半にはTTY専用公衆電話が導入され、1996年には米連邦通信委員会(FCC)が無線電話にTTY対応を義務付けました。
呼称
当初は電報や軍事通信機器として「TTY」と呼ばれていましたが、コンパクトな機種が登場すると「Deaf Telephone(DTC)」や「Telecommunications Device for the Deaf(TDD)」と呼ばれるようになりました。欧州では「Text Telephone(TT)」という呼称も使われます。米国の非営利団体 Telecommunications for the Deaf, Inc.(TDI)は、現在最も一般的に使用されている「TTY」という略称を推奨しています。
機器構成
TTYは主にキーボード、表示モニター、モデム(または音響カプラー)、電源(ACアダプターとバッテリー)で構成されます。一部の機種にはプリンターや自動応答機能が搭載されています。2010年時点での価格は約200〜1,000米ドル、重量は約2〜5ポンド(0.9〜2.3kg)です。
TTYの使い方
TTYで通話を開始するには、音響カプラーまたはモデムを通常の電話機に接続し、受話器を装着して電源を入れます。電源ランプと電話信号ランプの2つが点灯し、信号の状態に応じて点滅パターンが変わります。相手のTTYが応答すると、通常は「GA」(Go Ahead)と入力して会話開始の合図を送ります。メッセージの最後にも「GA」を付けて相手に返信を促し、通話終了時は「GA SK」(Go Ahead to Stop Keying)と入力して終了します。
略語・省略表記
TTY利用者はインターネットのチャットや携帯メールと同様に、入力時間を削減するために略語を多用します。句読点や助詞、冠詞も省略されがちです。代表的な略語としては、誤字を示す「XXX」、保留を示す「HD」、疑問符を表す「Q」などがあります。
