子どもと大人の糖尿病の違い
糖尿病は、体内にインスリンが全くないか、十分に分泌されず、食べ物をエネルギーに変換できなくなる慢性・進行性の疾患です。子どもから大人まで影響しますが、年齢によって症状や治療のポイントが異なるため、正しい理解が重要です。
タイプ
食事を摂取すると膵臓からインスリンが分泌され、血糖(ブドウ糖)を細胞に取り込ませます。インスリンが不足すると血糖が血中に残り、体は脂肪や筋肉を分解してエネルギーを得ようとします。その結果、ケトン体が産生されます。
糖尿病は大きく2つに分けられます。
- 1型(インスリン依存型、IDDM):膵臓のβ細胞が自己免疫で破壊され、インスリンが全く作れなくなるタイプ。発症は主に小児期後期から思春期にかけて起こります。
- 2型(非インスリン依存型、NIDDM):インスリンは分泌されるものの、インスリン抵抗性や分泌不足により血糖がコントロールできなくなるタイプ。かつては40歳前後での発症が主流でしたが、肥満の増加に伴い若年層でも増えています。
原因
- 1型:ウイルス・細菌感染、特定の食事や化学物質が引き金となり、自己免疫反応でβ細胞が破壊されます。遺伝的素因も関与します。
- 2型:高炭水化物・高脂肪・高タンパク質の食生活が続くとインスリン抵抗性が進行します。遺伝的素因と肥満が大きく影響し、特に腹部肥満がリスクを高めます。
米国糖尿病協会のデータによれば、子どもや思春期の2型糖尿病は全糖尿病の約3分の1を占め、従来の「小児型/成人型」の区分はほぼ廃止され、I型とII型で分類されます。
症状
- 初期症状:空腹感、体重減少、頻尿、脱水、のどの渇き、倦怠感、甘いにおいのする呼吸(ケトン臭)など。
- 進行症状:ケトアシドーシス(血中・尿中のケトン増加で酸性化)、クスマール呼吸(呼吸が速く浅くなる)、電解質異常、意識障害、昏睡など。
診断基準
米国糖尿病協会(2009年)の診断基準は以下のいずれかを満たすことです。
- ランダム血糖 > 200 mg/dL(症状がある場合)
- 空腹時血糖 > 126 mg/dL
- 75 g経口ブドウ糖負荷試験 2時間後血糖 > 200 mg/dL
- ヘモグロビンA1c > 6.0%
治療
- 1型:インスリン注射またはインスリンポンプによる恒常的なインスリン補充。
- 2型:食事療法、運動、経口血糖降下薬、必要に応じてインスリン。
- 共通:血糖自己測定、ストレス・感染管理、定期的な検診。
合併症
1型・2型ともに、子どもでも大人でも同様の合併症が起こります。心血管疾患、網膜症、神経障害、腎症、創傷治癒不全、過血糖・低血糖などが挙げられます。
子どもと大人の主な違い
- 認知機能への影響:7歳未満で診断された子どもは、7歳以降に診断された子どもに比べて知能検査や認知テストの成績が低いことが報告されています。慢性的な高血糖や低血糖が脳の発達に影響すると考えられています。
- 心理的・社会的適応:思春期の子どもは身体の変化や自己像、仲間関係に悩む時期です。糖尿病という慢性疾患が加わると、自己肯定感やストレスが大きくなるため、適切な心理サポートが重要です。
