前立腺の問題とその治療法
前立腺は男性の生殖系の一部で、くるみ大のサイズです。精液の生成に関与し、射精時に精子を運搬する役割を担います。前立腺の疾患は、簡単に治る細菌感染から、命に関わる可能性のあるがんまで様々です。
概要
米国保健福祉省の医療研究機関によると、60歳以上の男性の半数以上が何らかの前立腺問題を抱えるとされています。前立腺がんは男性のがんで2番目に多いですが、早期に発見すれば高い治癒率が期待できます。以下に主な疾患と治療法をまとめました。
主な疾患の種類
良性前立腺肥大(BPH):がんではなく前立腺が肥大する状態で、主に高齢男性に見られます。自然に改善することもありますが、症状が強い場合は薬物療法や簡易的な手術が必要です。
前立腺炎:前立腺の炎症です。急性細菌性前立腺炎は抗生物質で治療でき、放置すると重篤化する恐れがあります。慢性骨盤痛症候群(慢性前立腺炎)は完治が難しいものの、薬物や生活習慣の改善で症状緩和が期待できます。
前立腺がん:直腸指診や血液検査(PSA)で早期に発見できることが多く、初期段階での治療は非常に効果的です。
主な症状
頻尿、尿意切迫感、排尿時の痛み、尿流の途切れ、性交時の痛みなど。
骨盤や臀部、腰部の痛み、血尿や血精液も警戒すべきサインです。
症状が全く出ないケースもあります。
経過観察(アクティブ・サーベイランス)
病状が進行しにくい前立腺がんや軽度のBPHに対しては、手術や薬物治療をすぐに行わず、定期的な診察と検査で経過を観察する「アクティブ・サーベイランス」が選択されます。体力が低下している高齢者(80歳以上)など、手術リスクが高い場合にも有効です。
薬物療法
BPHに対しては、前立腺平滑筋をリラックスさせるα遮断薬や、前立腺組織を縮小させる5α還元酵素阻害薬が使用されます。
急性・慢性細菌性前立腺炎には抗菌薬が投与されます。
手術療法
症状が重度の場合やがんが進行した場合は、前立腺全摘出術が行われます。近年はロボット支援腹腔鏡手術が主流で、切開部が小さく回復が早いのが特徴です。進行がんに対しては、凍結療法(クライオサージェリー)やホルモン療法、放射線療法が併用されます。手術のリスクとしては出血、感染、失禁、勃起障害などがあります。
