乳様突起(マストイド)の痛みと対策
乳様突起は耳の後ろ、頭蓋骨の下部に位置し、内部は空気で満たされた蜂巣状の小腔がある突起です。これらの小腔は乳様突起洞(mastoid antrum)を介して中耳とつながり、鼓膜の正常な振動を助ける予備の空気供給源となります。しかし、この連絡経路により中耳炎が乳様突起に広がることがあります。
原因
- 乳様突起炎(mastoiditis)は主な原因です。中耳炎(急性中耳炎)の炎症が乳様突起の空気細胞へ移行して起こります。肺炎球菌、インフルエンザ菌、ベータ溶血性連鎖球菌、ブドウ球菌、グラム陰性菌などが原因菌です。
診断
- 耳鏡検査で外耳と鼓膜を観察し、気圧耳鏡で鼓膜の動きを確認します。ティンパノメトリーで鼓膜の反射音を測定し、必要に応じてX線、CT、MRIなどの画像診断や血液検査、培養検査を行います。
罹患率・対象者
- 中耳炎は外来抗生物質使用の約40%を占め、医師受診の第2位の原因です。特に生後6か月から2歳までの乳幼児が最も罹患しやすいです。
治療
- まずは経口または局所抗生物質で治療します。抗生物質が効果を示さない場合は手術が検討されます。感染が持続したり頭蓋内合併症がある場合は乳様突起切除術(mastoidectomy)を行い、感染部位を洗浄しドレーンを設置します。慢性炎症の場合は後壁切除術(radical mastoidectomy)も選択肢となります。
警告・合併症
- 抗生物質が効かず手術が遅れると、感染は拡大し髄膜炎、ベゾルド膿瘍、聴覚障害、顔面神経麻痺、内耳炎(ラビリニス)など重篤な合併症を引き起こす恐れがあります。
