甲状腺眼症(バセドウ病性眼症)について
概況
甲状腺眼症(バセドウ病性眼症候群)は、甲状腺機能亢進症(特にバセドウ病)を伴うことが多い自己免疫疾患です。眼の症状は甲状腺が過活動になる前に現れることもあり、約10%の患者は甲状腺機能亢進症を発症しません。
罹患率
バセドウ病は最も一般的な甲状腺機能亢進症で、患者の約50%が何らかの甲状腺眼症状を示します。重症例は全体の約2%にとどまりますが、喫煙者は非喫煙者に比べ約8倍のリスクがあります。
主な症状
- 眼球周囲の炎症に伴う砂礫感、痛み、赤み、涙目。
- 眼瞼や眼窩組織の浮腫で、朝起きたときに特に腫れが顕著。
- 日光や風により症状が悪化。
- 眼球筋の腫脹により眼球突出(見開き)になる。
重症例の特徴
- 眼球運動障害や眼球運動時の疼痛。
- 複視(二重視)や視神経圧迫による視力低下。
- 眼瞼閉鎖不全で、完全にまぶたを閉じられない。
甲状腺機能亢進症の治療
眼症状が出た時点で甲状腺機能が未診断の場合、血液検査で甲状腺ホルモンを測定し、過活動が確認されたら以下の治療が行われます。
- 抗甲状腺薬でホルモン産生を抑制。
- β遮断薬で既に循環しているホルモンの作用を緩和。
- 放射性ヨウ素療法で過活動甲状腺細胞を破壊。
- 甲状腺が著しく腫大した場合は手術。
これらの治療は甲状腺眼症の症状緩和にも寄与します。
甲状腺眼症の一般的な治療
軽度から中等度の症例は数か月から2年で自然に改善することが多いです。対症療法としては、人工涙液で眼の乾燥や刺激を和らげ、複視がある場合はプリズムレンズ付き眼鏡を使用します。ただし、眼球突出は症状が消えても残ることがあります。
集中的な治療法
甲状腺治療後も眼症状が進行する場合、以下の治療が検討されます。
- ステロイド投与で炎症と浮腫を抑制。
- 免疫抑制剤の併用または単独使用。
- 外科手術による眼球突出の改善や眼瞼機能の回復。
