遺伝性痙性対麻痺(HSP)の特徴と診断ポイント
遺伝性痙性対麻痺(HSP)とは
遺伝性痙性対麻痺(Hereditary Spastic Paraplegia、略称HSP)は、遺伝的要因により下肢の痙縮と筋力低下が進行する疾患群です。発症は徐々に始まり、適切な治療が行われない場合は時間とともに症状が悪化します。発症年齢は乳児期から高齢まで幅広く、家族内でも症状の程度や出現時期に差があります。
分類
HSPは大きく2つに分類されます。
- 純粋型(単純型):下肢の痙縮・筋力低下に限局し、他の神経症状は認められません。
- 複合型(複雑型):純粋型の症状に加えて、認知障害、てんかん、視覚・聴覚障害、皮膚症状、嚥下・呼吸障害など多様な合併症が出現します。
主な症状
- 歩行遅延・歩行困難:特に小児期発症の場合、歩行開始が遅れることがあります。
- 下肢筋力低下:足、膝、太ももの屈曲筋が徐々に弱まり、歩行補助具の使用が必要になることがあります。
- 足底の引きずり:足先を上げにくくなり、歩行時につま先が引きずられます。
- 痙縮(筋緊張亢進):病期が進むと下腿・大腿の筋肉が硬直し、可動域が制限されます。
- 歩行時の振戦・脚の交差歩行:筋力低下と痙縮が重なることで、脚が不随意に震え、交差歩行や転倒が増えます。
- バランス障害:脊髄変性に伴い、下肢の位置感覚が乱れ、立位・歩行時のバランスが取りにくくなります。
- 足関節の痙攣(クロンス):歩行中に足首が急激に背屈し、ふくらはぎの筋肉が持続的に痙縮して足がけいれんします。
- 足底の変形(足底高弓):足底筋の弱化により、足が高くなりやすくなります。また、感覚低下や振動覚の減弱もみられます。
- 筋萎縮:長期間車椅子使用などで筋肉が使われないと、筋肉量が減少します。
- 膀胱機能障害:病期が進むと排尿衝動が強くなり、最終的には尿失禁や排尿困難が生じます。
- 複合型にみられる神経症状:知的障害、認知症、てんかん、末梢・視神経障害、聴覚障害、皮膚乾燥・鱗屑、発語障害、嚥下・呼吸困難などが報告されています。
