コレラの毒素はどのようにして激しい下痢を引き起こすのか
コレラの概要
コレラは急性腸管感染症で、激しい水様性下痢が特徴です。原因菌であるVibrio choleraeは、コレラ毒素(CT)と熱不安定毒素(LT)の二つの毒素を産生し、腸の上皮細胞機能を乱して大量の塩と水を腸腔へ分泌させます。
コレラ毒素(CT)
CTは約84kDaの単一ポリペプチドで、AサブユニットとBサブユニットの二部構成です。Aサブユニットが毒性活性を持ち、Bサブユニットは細胞表面に結合してAサブユニットを細胞内に導入します。
熱不安定毒素(LT)
LTは構造・機能ともにCTに類似していますが、60℃で30分加熱すると失活します。分子量は約28kDaとやや小さく、同様にcAMPレベルを上昇させて作用します。
下痢を引き起こすメカニズム
CTまたはLTが腸上皮細胞に結合すると、アデニル酸シクラーゼが活性化され、細胞内cAMPが増加します。cAMPは囊胞性線維症トランス膜伝導調節因子(CFTR)塩化物チャネルを開き、塩化物イオンが腸腔へ分泌されます。塩化物に続いて水が追随し、結果として大量の水様性下痢が発生します。
その他の病原性因子
- コロニゼーション因子:腸上皮への付着を助けます。
- その他の毒素:溶血素、細胞毒素、エンテロトキシンなどが腸上皮を損傷し、症状を悪化させます。
- バイオフィルム形成:環境中での生存や抗菌剤に対する耐性を高めます。
治療と予防
コレラは脱水や電解質異常を引き起こす重篤な疾患ですが、経口補水療法(ORS)により効果的に管理できます。ORSは下痢で失われた水分と電解質を補給し、子供から大人まで安全に使用できます。
