過敏性腸症候群(IBS)の合併症
過敏性腸症候群(IBS)は、米国で約15%の人が罹患している機能性疾患です。腸管の筋肉・臓器・神経の働きを乱す一方で、腸の構造自体は変化しません。合併症は少ないものの、症状に気づいておくことは重要です。
歴史
1990年代まで、IBSは主に精神的要因による心身症と考えられ、心理療法が中心に行われていました。生物学的・病原的要因が関与していることは、当時はまだ確認されていませんでした。
発症リスク
3年間の追跡調査において、IBS患者は炎症性腸疾患(IBD)—クローン病や潰瘍性大腸炎など—を発症するリスクが16.3倍に高まることが示されました。
診断と食事
IBSの症状は特定の食べ物により悪化することがありますが、食事に起因する症状が頻繁に現れる場合は、機能性疾患以外の別の疾患が疑われます。
合併症(併存症)
IBS患者は以下のような併存症を抱えることが多いです。
- 線維筋痛症
- 頭痛
- うつ病
誤解と過剰手術
IBS患者は誤診により、胆嚢摘出術(胆嚢除去手術)や子宮摘出術(子宮全摘)といった不要な手術を受けるリスクが高まります。胆嚢摘出は87%、子宮摘出はIBS患者の約3人に1人が受けると報告されています。
研究仮説
最新の研究では、未発見の感染症がIBSの合併症を引き起こす可能性があると示唆されています。
手術の必要性
IBSによる腹部疼痛が手術適応と誤解され、実際には胆石などの実体的リスクがなくても腹部手術が行われるケースが多いことが分かっています。
