蝶形骨異形成と洞感染症
重要性
蝶形骨異形成は、蝶形骨の形成が不完全な状態を指します。蝶形骨は眼窩の一部を構成し、鼻腔へと続く洞(副鼻腔)を持ちます。先天的な欠損や頭蓋の発育不全が原因で起こり、洞感染症を併発しやすくなります。
異形成した蝶形骨の周囲で副鼻腔炎が起こると、蝶形骨洞炎(sphenoid sinusitis)となります。米国耳鼻咽喉科学会は、副鼻腔炎を鼻副鼻腔の粘膜・骨・空間の炎症と定義しています。蝶形骨に炎症が及ぶと、診断が難しく、重篤な合併症を招くことがあります。
症状
蝶形骨洞炎は症状が微妙で診断が困難です。代表的な症状は、睡眠を妨げるほど強い頭痛で、鎮痛剤でも緩和しにくいことがあります。発熱や鼻炎、目の奥の深部疼痛、顔面の感覚低下(低感覚)も報告されます。
合併症
治療せずに放置すると、神経系、血管系、視覚系に及ぶ重篤な合併症が生じます。蝶形骨の異形成があると、炎症が脳に近い部位へ拡大し、髄膜炎や膿瘍・膿胞が形成され、生命を脅かす状態になることがあります。眼瞼の軽度炎症が失明に至るケースや、頸動脈が関与して動脈瘤・血栓が生じるリスクもあります。また、喘息の発症や嗅覚・味覚の減退も報告されています。
治療
診断が確定したら、24時間以内に抗生物質と去痰薬(デコンジェスタント)を投与します。重篤な合併症が認められる場合は、ドレナージを目的とした外科手術が必要となります。
予防・対策
鼻汁を薄く保つために十分な水分摂取が有効です。喫煙は控え、鼻を優しくかむ、アルコール摂取を減らす、極端な温度変化を避けるなどの生活習慣改善が、洞感染症の予防につながります。
