TSH フィードバックループ

甲状腺刺激ホルモン(TSH)は脳の下垂体から分泌され、甲状腺に甲状腺ホルモンの産生を促します。甲状腺ホルモンは代謝を調節し、血中濃度が上昇すると視床下部にあるTRH(甲状腺放出ホルモン)の分泌を抑制し、下垂体からのTSH分泌が減少する負のフィードバックが働きます。

甲状腺機能亢進症と低下症

TSH が高いと、二つの相反する状態が起こり得ます。

  • 甲状腺機能亢進症(ハイパーサイロイド):代謝が過剰に活発化し、体重減少、心拍数増加、発汗過多、熱不耐症、不安感、集中困難、骨粗鬆症、下痢などの症状が現れます。
  • 甲状腺機能低下症(ハイポサイロイド):代謝が低下し、体重増加、徐脈、寒がり、皮膚の冷感、成長障害、便秘などがみられます。

甲状腺そのものの問題

甲状腺が十分なホルモンを産生できないと、体はTSHで刺激を続けます。これが最も一般的な高TSHの原因です。主な要因は以下の通りです。

  • ヨウ素不足(クレチン症)
  • 自己免疫性甲状腺炎(橋本病)
  • 手術による甲状腺摘出
  • 線維化(リーデル甲状腺炎)やウイルス性炎症(デ・ケルバン甲状腺炎)
  • TSH が高い状態は、甲状腺がんリスクをわずかに上昇させます。

下垂体・視床下部の腫瘍

稀に下垂体腺腫がTSH を過剰に産生することがあります。さらに稀ですが、視床下部に腫瘍ができTRH を過剰に分泌し、結果としてTSH が上昇するケースも報告されています。

甲状腺機能低下症の診断

血中の甲状腺ホルモン(FT4)やTSH を測定し、低ホルモン・高TSH の組み合わせで診断します。ヨウ素濃度や甲状腺シンチグラフィーで機能評価も行われます。必要に応じて甲状腺ホルモンを補充すれば、TSH は正常化します。

甲状腺機能亢進症の診断

下垂体腫瘍が原因の場合は、血中TRH が低下し、甲状腺ホルモンは高値になります。視床下部腫瘍が原因の場合はTRH と甲状腺ホルモンが共に高くなりますが、TRH は測定が難しいため、CT/MRI 画像とT3 値で評価します。