線維筋痛症の診断手順と評価ポイント
線維筋痛症は、全身に広がる痛みや倦怠感、睡眠障害、認知機能の低下などを特徴とする慢性疾患です。単一の検査で確定できないため、医師による総合的な評価が必要です。診断の流れは主に以下のステップで構成されます。
1. 病歴と症状の聴取
痛みの部位・強さ・持続時間、併発する倦怠感、睡眠障害、認知障害、情緒変化などについて詳しく聞き取ります。
2. 身体診察
体の特定部位(圧痛点)に対する圧痛の有無を確認します。圧痛点は線維筋痛症でよく見られますが、診断の唯一の根拠にはなりません。
3. 他疾患の除外
同様の症状を呈する疾患が多数あるため、血液検査、画像検査、神経伝導検査などで他の原因を除外します。
4. 痛みの広がりと程度の評価
Widespread Pain Index(WPI)や疼痛部位数を測定し、痛みの範囲と重症度を客観的に把握します。
5. 疲労度の評価
慢性的な倦怠感の程度と日常生活への影響を評価します。
6. 睡眠の質の評価
睡眠障害の有無や睡眠パターンを質問し、睡眠の質を把握します。
7. 認知機能の評価
「ファイブラフォグ」と呼ばれる記憶・注意力・集中力の低下を検査します。
8. 診断基準(ACR基準)の適用
米国リウマチ学会(ACR)が提示する診断基準を用います。基準は、痛みが全身に広がっていること、症状が3か月以上続くこと、圧痛点の数が一定数以上であることなどを組み合わせて判定します。
線維筋痛症は多様な症状が重なり合う複雑な疾患であり、診断には時間がかかることがあります。医師は患者さんの症状と病歴を慎重に検討し、総合的に判断します。
