胃・十二指腸潰瘍の痛みの治療法

胃や十二指腸の壁にできる潰瘍は、年齢を問わず発症しますが、胃潰瘍は60歳以上の女性に、十二指腸潰瘍は30〜50歳の男性に多く見られます。症状は多岐にわたり、強い不快感を伴うことがあります。

原因

  • 1982年にオーストラリアの研究者が、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)菌が胃潰瘍の主因であることを発見しました。この業績は2005年のノーベル生理学・医学賞につながりました。従来は喫煙・飲酒・ストレスなどの生活習慣が原因と考えられていましたが、実際の潰瘍の80%以上はピロリ菌感染によります。

    ピロリ菌は胃壁の細胞に付着し、ウレースという酵素でアンモニアを産生します。アンモニアは胃酸を中和し、菌が増殖しやすい環境を作ります。その結果、胃粘膜が弱まり炎症や刺激が起こります。

  • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やアスピリンの過剰使用も潰瘍の原因となります。これらの薬は胃酸の分泌を増加させ、粘膜保護機能を低下させます。

症状

  • 胃部の焼けつくような痛みが肩や背中に放散し、心筋梗塞に似た感覚になることがあります。膨満感、軽度の吐き気、げっぷ、逆流性食道炎も頻繁にみられます。

    最も典型的なのは「空腹時の痛み」で、空腹感に似た鈍い痛みが食後1〜2時間以内、または夜間に出現します。食事で胃酸が食べ物により希釈されるため、食事で痛みが和らぐことが多いです。

治療法

  • 自宅でできる対策:一日数回に分けて少量ずつ食べることで胃酸を薄めます。バナナは胃酸の分泌を抑え、胃壁をコーティングする効果があるとされています。生野菜ジュースも同様に胃粘膜を保護します。

  • 薬物療法

    • H2受容体拮抗薬(例:タガメット、ペプシッド) – 胃酸分泌を抑制し、胃潰瘍は6〜8週間、十二指腸潰瘍は4週間で改善が期待できます。
    • プロトンポンプ阻害薬(例:オメプラゾール=プリロセック) – 胃酸ポンプを直接阻害し、胃酸産生を95%以上抑制します。効果はH2ブロッカーの約10倍で、十二指腸潰瘍は2〜4週間で治癒が見込めます。
    • 粘膜保護剤(処方薬:スルクレート、サイトテック/市販薬:タムス、ペプトビスマル) – 胃壁に保護層を形成し、酸による刺激を防ぎます。
    • 抗生物質(高用量を2週間) – ピロリ菌根絶に必須です。抗生物質併用療法を行った場合、潰瘍再発率は約1%にとどまりますが、未使用の場合は75%に上ります。

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