プロトンポンプ阻害剤(PPI)とは?その仕組みと主な用途
胃はタンパク質の消化や特定ミネラルの吸収に必要な濃度の塩酸を分泌しますが、潰瘍や逆流性食道炎(GERD)などの疾患では酸の過剰産生を抑える必要があります。そのために医師はプロトンポンプ阻害剤(PPI)を処方します。代表的な薬剤はオメプラゾールとパンテプラゾールです。
作用機序
胃壁の壁細胞はH⁺/K⁺-ATPase(プロトンポンプ)を使って胃腔へ水素イオンを分泌し、塩酸を生成します。PPIはこの酵素に不可逆的に結合し、活性を阻害します。その結果、新たな酵素が合成されるまで酸の分泌が止まります。
GERD(逆流性食道炎)の治療
GERDは胃酸が食道に頻繁に逆流し、胸焼け以上の合併症を引き起こす状態です。胃酸分泌を抑えることで症状を軽減し、数週間で改善が期待できます。PPIはこの目的で最も効果的な薬剤とされています。
消化性潰瘍の治療
胃酸を抑える薬は潰瘍治癒に不可欠です。ヘリコバクター・ピロリ感染が原因の場合、PPIは抗生物質と併用されます。抗生物質と組み合わせることで、胃粘膜の保護と細菌除去が同時に行われ、ほとんどの患者で潰瘍が治癒します。
類似薬との比較
制酸剤は一時的に胃酸を中和しますが、分泌自体は抑えません。一方、H₂受容体拮抗薬(H₂RA)は壁細胞の酸分泌を抑制しますが、PPIほど強力ではありません。症状や患者の状態に応じて、医師はこれらの薬を選択します。
主な副作用と注意点
長期使用は高齢者の股関節骨折リスク増加やカルシウム吸収障害と関連する報告があります。また、胃ポリープの発生や腹痛、吐き気、下痢、めまいなどの副作用が報告されています。必要に応じて医師と相談しながら使用期間を管理しましょう。
