小児の尿路感染症(UTI)治療ガイド
米国では全小児の約3%が尿路感染症(UTI)に罹患し、年間約100万人が小児科医の診療を受けています。女児は男児に比べリスクが高く、女児の罹患率は約8%、男児は約3%です。治療が遅れると腎盂腎炎や重篤な合併症、最悪の場合は死亡に至ることもあります。
原因
正常な尿は無菌ですが、外陰部や肛門周辺の細菌が尿道を逆行し膀胱に達すると感染が起こります。膀胱の炎症(膀胱炎)を起こすと排尿時に痛みや不快感が生じ、細菌が尿管を上行して腎臓に達すると腎盂腎炎となり、より深刻な状態になります。尿路の解剖異常や排尿の遅延も感染リスクを高めます。定期的な排尿は細菌を洗い流すため、UTI予防に重要です。
症状
UTIの主な症状は以下の通りです。
- 尿に血が混じる(血尿)
- 頻尿・尿量が少ない
- 発熱・悪寒
- 腹部・骨盤部の痛み
- 吐き気・嘔吐
- 濁った尿、強い悪臭のある尿
年長児は自覚症状を言葉で表現できますが、乳幼児の場合はおむつや下着に残る尿の色や匂いの変化で判断します。
診断
UTIの確定診断は尿検体と培養検査が唯一の方法です。年少児は清潔な採取バッグで尿を採取し、年長児は直接カップに排尿させます。必要に応じてカテーテルで膀胱から尿を採取することもあります。培養により細菌の有無と種類が判明し、適切な抗菌薬選択の根拠となります。
治療
細菌が確認されたら、医師は抗生物質で治療を開始します。症状や年齢、体調に応じて経口薬(3〜5日間)または静脈投与が選択されます。治療中は十分な水分摂取が推奨され、尿の排出を促進します。
主な抗生物質
小児のUTIに有効とされる抗生物質には、アモキシシリン系(Augmentin、Trimox、Amoxil)やサルファ系(Bactrim、Septra)・マクロライド系(Macrobid、Suprax)などがあります。通常、48時間以内に症状が改善しますが、軽度の副作用(吐き気、発疹、下痢など)や稀な重篤副作用(皮膚炎、胸痛、意識障害)に注意が必要です。
予防策
UTI予防のポイントは以下の通りです。
- 綿素材の下着を選び、ナイロン製は避ける
- 十分な水分摂取で膀胱を定期的に洗浄
- 強い石鹸や泡風呂は控える
- 排尿後は前から後ろへ拭くなど、正しい拭き取りを徹底
- 定期的に膀胱を空にする習慣をつける
- クランベリージュースや生きた乳酸菌を含むヨーグルトの摂取が有益
