子どもの膀胱に関する問題
小児の膀胱トラブルと聞くと、まず夜間遺尿(ベッドウェッティング)を思い浮かべる人が多いですが、実際にはそれだけではありません。幼少期から起こり得る深刻な膀胱疾患や先天性の異常もあり、薬物療法や手術が必要になることがあります。子どもに膀胱の異常が疑われる場合は、まず小児科医に相談し、必要に応じて小児泌尿器専門医への紹介を受けましょう。
夜間遺尿(ベッドウェッティング)
夜間遺尿は、幼児期から小学生までの子どもに比較的多く見られ、全体の約10%が経験するとされています。主な原因は、膀胱の容量や収縮力が十分でなく、深い睡眠のためにトイレに起きられないことです。家族歴があるケースが多く、半数以上の子どもは親も同様の経験があります。通常は成長とともに自然に解消され、特別な治療は必要ありません。
尿路感染症(UTI)
子どもも大人と同様に膀胱感染を起こします。症状は排尿時の痛み・灼熱感や尿の異臭、発熱、下痢、そして夜間遺尿が新たに現れることがあります。多くの場合は抗生物質の短期間投与で改善しますが、再発を繰り返す場合は膀胱や腎臓の基礎疾患が隠れていることもあるため、専門的な評価が必要です。
プルーンベリー症候群(Prune Belly Syndrome)
主に男児に見られる稀な先天性疾患で、腹壁筋が発達不全のため腹部がしわくずれたように見えます。膀胱は拡大し、尿が腎臓に逆流する(尿路逆流)ことや、精巣未降下が特徴です。診断は身体診察で行われ、治療は手術により腎臓のダメージや尿路逆流の修復、腹部の形状改善、精巣の降下を行います。膀胱自体は通常手術で直接修正しません。
尿逆流と漏出
膀胱腎盂逆流(Vesicoureteral reflux, VUR)と膀胱外翻(Exstrophy)は、尿が正常に排出されない小児特有の疾患です。VURは尿が膀胱から腎臓へ逆流する状態で、重症度は1~5段階に分けられます。多くは軽度(1〜2度)で自然に改善し、抗生物質で感染予防が行われます。4〜5度は外科的修復が必要です。膀胱外翻は出生直後に診断され、膀胱が平坦化して尿が腹腔へ漏れ出します。手術により正常な形態と機能を回復させます。
膀胱・尿道の閉塞(後部尿道弁)
重篤な閉塞性疾患として、胎児期の超音波検査で見つかることがある後部尿道弁があります。尿道内に組織が形成され(弁)、尿の排出が阻害されます。その結果、尿路逆流や腎臓感染が起こり得ます。出生後すぐに手術で弁を除去し、尿路の通過を確保します。
