医療分野におけるコンピュータネットワークのリスク
コンピュータの導入により、医療現場の情報管理は紙のカルテから電子システムへと変化し、患者の病歴や処置、投薬情報が一元化されました。しかし、ネットワーク化されたシステムにはさまざまなリスクが伴います。以下では、医療分野で特に注意すべきリスクとその影響を解説します。
セキュリティ
医療情報は極めて機密性が高く、患者は自分の記録が不正に閲覧されないことを期待しています。高度なセキュリティ対策を講じても、ファイルが開いたまま放置されたり、ハッカーが侵入したり、従業員がパスワードを漏らすといったリスクは残ります。また、公共の端末や保護が不十分なネットワークからアクセスすると、セキュリティが破られる可能性が高まります。
盗難
紙のカルテ時代は、盗むには実際に保管場所に侵入する必要がありました。ネットワーク化された医療システムでは、セキュリティの脆弱性さえ突かれれば、遠隔から数クリックで大量の患者情報を取得できます。さらに、複数の医療機関が相互に接続されているため、1つの施設が侵害されると、他の施設にも被害が波及する恐れがあります。
停電
紙ベースの記録なら停電は業務の一時的な不便にすぎませんが、電子カルテは電力供給が途絶えると深刻な影響を受けます。多くの施設はバックアップ用発電機を備えていますが、稼働時間は限られています。停電中に手術や救急処置が必要な場合、重要な患者情報にアクセスできず、診療が遅延するリスクがあります。また、電源が落ちた際に未保存のデータが失われる危険もあります。
誤入力
ヒューマンエラーは紙・電子問わず起こり得ますが、ネットワーク上の誤った情報はシステム全体に拡散し、医療スタッフ全員がそのデータに基づいて判断を下すことになります。結果として誤った治療や投薬、保険請求の拒否といった重大な問題が発生する可能性があります。
