自然災害がもたらす心理的影響
問題点
自然災害の精神的・感情的な影響は、最初は目に見えにくいことが多いです。最優先は物的被害の復旧や安全確保であり、救助や仮設住宅の提供が急務です。そのため、多くの人は感情を後回しにせざるを得ません。住宅の再建や片付けが終わると、徐々に心の傷が表面化します。
症状
災害後に見られる典型的な心理パターンは、まずショックと恐怖。その後、生き延びたという一時的な高揚感が訪れ、やがてそれが消えるとともにうつや不安、罪悪感が現れます。数か月後に初めて症状が出ることもあり、抑うつ、罪悪感、不眠、怒り、対人関係からの撤退などが見られます。
喪失感
大きな感情的苦痛の原因は「喪失感」にあります。家族や友人の死といった重大な喪失だけでなく、住宅や思い出の品、写真などの「見えにくい」喪失も深い影響を与えます。家は安全とプライバシーの拠点であり、そこが失われると自分の一部が奪われたように感じます。
治療法
心的外傷を抱える人は、単に時間が解決すると期待すべきではありません。心理療法やカウンセリングが有効で、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断されるケースも多いです。米国退役軍人局は、回復に最も重要なのは家族や友人、同じ経験をした仲間などの社会的支援だと指摘しています。
対策と取り組み
保健機関はこの問題を真剣に受け止めています。1980年代に米国国立精神衛生研究所は「緊急時メンタルヘルス研究センター」を設立し、災害の心理的影響を研究し、援助者や医療従事者への教育を行っています。知識が蓄積されるほど、被災者への早期支援が可能になります。
