ADHDの診断
治療に入る前に、まずADHDの診断が確定しているか確認します。ADHDの症状は幼少期に現れ、米国精神医学会の『診断と統計マニュアル(DSM)』によれば、学齢期の子どもの3〜5%がADHDと診断されています。子どもの頃にADHDと診断された人の30〜70%は、成人になっても症状が続きます。
ADHDの人は集中力が続かず、注意が散漫になりやすいです。退屈しやすく、刺激にすぐ反応し、作業を急いでミスをしがちです。また、衝動的に行動し、事故に遭いやすく、待つことが苦手で、報酬を先延ばしするのが難しいという特徴があります。約70%の子どもは多動性を伴い、落ち着きがなく席を離れたがります。
疑いがある場合は、心理士・精神科医・内科医などの専門医に正式な診断を受けましょう。なお、不安障害、うつ病、代謝異常、内分泌疾患、低血糖、アレルギー、学習障害などもADHD様の症状を呈することがあるため、これらを除外してから治療を開始することが重要です。
食事療法
食事とADHDの関係については専門家の見解が分かれますが、糖分や食品添加物が症状を悪化させる可能性は指摘されています。特に幼児や食物アレルギーを持つ子どもは添加物に敏感になることがあります。そのため、炭酸飲料、脂肪分の多い食品、加工糖、ブドウ糖、果糖、ジャンクフードはできるだけ避けるとよいでしょう。
「実験的」に食事を変えてみることをおすすめします。加工食品やジャンクフードを除去し、症状が落ち着くか観察してください。同様に、低糖食に切り替えて症状の変化を確認し、甘いものを大量に摂取した後に多動が出たら糖分の制限が有効です。
低血糖はADHDの症状に関与している可能性があります。タンパク質を多く含む食事は血糖の変動を抑え、症状の安定に役立ちます。ツナやサーモンなどの冷水魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)は、ADHDの人に不足しがちなので積極的に摂取しましょう。
代謝を整える食材として、緑黄色野菜やフレッシュフルーツ、全粒穀物、豆類を毎日の食事に取り入れると効果的です。
薬物療法
ADHDの症状が日常生活に大きな支障を来す場合は、薬物療法を検討します。多くの場合、刺激薬(メチルフェニデートやアンフェタミン系)が第一選択となりますが、抗うつ薬が症状を軽減するケースも報告されています。
米国医学会誌(JAMA)に掲載された研究では、ADHD薬が前頭前皮質の神経結合を改善し、衝動制御や注意力に関わる脳領域の機能を向上させることが示されています。
最適な薬は人それぞれで、効果と副作用のバランスを見極めながら、少量から徐々に用量を増やす「試行錯誤」のプロセスが必要です。効果が不十分だったり副作用が強い場合は、別の薬剤へ切り替えることが推奨されます。
