メンタルヘルス障害におけるコミュニケーション技術
小児期発症と成人発症
コミュニケーション能力に影響を与えるメンタルヘルス障害は、大きく「小児期発症」と「成人発症」の二つに分けられます。
- 小児期発症に含まれる主な障害
- 知的障害(軽度・中度・重度・重篤・不明)
- 学習障害(読字・算数・書字表現障害、その他未分類)
- 運動スキル障害(発達性協調運動障害)
- コミュニケーション障害(表出性言語障害、受容・表出混合性言語障害、音韻障害、吃音、その他未分類)
- 広汎性発達障害(自閉症スペクトラム、レット症候群、幼児期崩壊症候群、アスペルガー症候群、その他未分類)
- 注意欠陥・衝動性障害・対人行動障害(ADHD、行為障害、反抗挑戦性障害、その他未分類)
- 成人発症に含まれる主な障害
- 認知症(早発性アルツハイマー、晩発性アルツハイマー、血管性認知症、Pick病、クロイツフェルト・ヤコブ病、薬剤性持続性認知症、複数原因性認知症、その他未分類)
- 転換性障害、統合失調症(妄想型・統合失調型・カタトニック型・未分化型・残遺型・統合失調感様障害・統合失調感情障害・妄想性障害・短期精神病性障害・共有精神病性障害・妄想・幻覚による精神病性障害・薬剤性精神病性障害・その他未分類)
チームアプローチ
診断が複数ある場合、コミュニケーションはさらに複雑になります。個々の現在の能力と伸ばせる可能性を評価し、保護者・教師・言語聴覚士・医師・メンタルヘルス支援者が連携して支援計画を策定します。
評価項目は、聞き取り・嚥下・視覚検査などを含む総合的な能力測定です。計画は次の二本柱で構成されます。
- 不足しているスキルの向上
- 既存の能力と強みの活用・強化
まずは「聞く」スキルの育成に重点を置きます。他者の発話を聞き分け、言語のニュアンスを捉え、音声や発話技術を模倣する練習です。
聞くことは単に情報を得るだけでなく、相手の意図や感情を理解する「アクティブリスニング」でもあります。言葉が不適切でも、意味を正しく把握できればコミュニケーションは成立します。
個々のコミュニケーションレベルは人それぞれです。期待は個人の能力範囲内で設定し、達成不可能な目標を課すことは避けましょう。
言語以外の手段(非言語、手話、補助機器、画像カード、コミュニケーションボード等)も積極的に活用し、本人が最も使いやすい方法で表現できるよう支援します。
追加で必要なコミュニケーションスキル
使用する手段に関わらず、効果的なコミュニケーションには以下のスキルが不可欠です。
- 指示に従うこと
- 結果や罰則を受け入れること
- 「ノー」を受け止めること
- 批判やフィードバックへの対応
- 怒りのコントロール
- 正直に伝えること・自己主張
- 権威者の決定を受け入れること
- 他者への配慮や共感の表現
- 妥協・譲歩の方法
- 感情の自己管理・他者の攻撃的行動への対処
- 自己モニタリングと振り返り
- 肯定的な注目を求める方法
- 適切な異議申し立て・割り込み・交渉の仕方
- 適切な言葉遣い
これらはロールプレイ、実際のシチュエーション、書面でのリマインダーなどで繰り返し練習します。繰り返しとフィードバックにより、メンタルヘルス障害を抱える人でも新しいスキルを身につけ、コミュニケーションが開くことで生活の質が向上します。
