先進国が第三世界へ有害廃棄物を輸出する背景

有害廃棄物とは、健康に危害を及ぼすか、環境を脅かす可能性のある廃棄物のことです。化学薬品、工業プロセスの副産物、医薬品、病理学的廃棄物、放射性物質、電子機器、さらには下水までが含まれます。各国の法律は適切な処理を義務付けていますが、さまざまな理由でこの廃棄物が第三世界諸国に投棄されることがあります。

土地利用の問題

有害廃棄物は人や動物に深刻な健康被害をもたらすため、近隣に住みたくないというのが常識です。そのため、先進国では処分・処理施設の用地確保が困難です。地域住民は土地利用に反対する請願書を提出したり、デモを行ったりします。

法規制の違い

米国をはじめとする先進国では、有害廃棄物の輸送・処分に関する法規が厳格化しています。処分場の設置には、場所、管理体制、施設設計、閉鎖までの全てにわたる地方・連邦の規制を遵守しなければなりません。このため、処分コストが高くなると、企業は規制が緩くコストが低い第三世界諸国へ輸出するケースが増えます。多くの途上国では有害廃棄物に関する法律が未整備、あるいは実効性が低く、違法投棄が横行しています。

経済的動機

有害廃棄物の適正処理には年間数百万ドルもの費用がかかります。一方、輸出すればその費用を大幅に削減できるため、企業にとっては魅力的です。戦争や貧困に苦しむアフリカ諸国などは、外貨獲得の手段として有害廃棄物受け入れを提案されることがあります。たとえば1997年、ソマリア南部は1,000万トンの有害廃棄物受け入れの代償として8,000万ドルを受領しました。外貨不足と低いGDPに悩む国にとって、こうした取引は経済的救済策と映ります。

健康への影響

有害廃棄物には鉛、ヒ素、ダイオキシンなどの発がん性・毒性物質が含まれます。短期的な影響としては、やけど、内出血、腎不全などの内分泌障害、吸入による死亡があります。長期的には先天性欠損やがんのリスクが高まります。

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