FDA Form 483 の概要と役割
FDA Form 483 は、食品医薬品局(FDA)の検査官が製造施設の検査結果として、現行適正製造基準(cGMP)への不適合事項を記載する公式文書です。人用医薬品(処方薬・一般用医薬品)、動物用医薬品、医療機器、食品、放射線製品、ワクチン、血液・生物製剤、化粧品など、さまざまな製造施設が対象となります。
FD&C法(連邦食品医薬品化粧品法)
FDAが工場を検査する権限は、FD&C法第704条に規定されています。この条項は、FDAの職員や従業員が「食品、医薬品、医療機器、化粧品が製造、加工、包装、保管されている」施設に立ち入り、検査を実施できることを認めています。検査官は、施設を退出する前に欠陥を記した報告書(Form 483)を所有者または運営者に交付する義務があります。
cGMP(現在の適正製造基準)
薬剤の原料(有効成分や賦形剤)や完成薬剤(最終製剤)を製造する企業に対する基準がcGMPです。完成薬剤に関するcGMPは、21 CFR Part 211(第1章)で定められ、品質管理責任、照明・換気・設備設計・保守など、全58項目にわたります。
検査対象
FDAは、最終薬剤の承認に関わる有効成分(API)製造施設も検査する権限を持ち、これらの施設は「Drug Master File(DMF)」をFDAに提出する必要があります。米国内外のAPIおよび完成薬剤メーカーが対象となり、米国外の施設も同様に検査対象です。
Form 483(検査指摘書)
第704条に基づき、検査官は施設を退出する前に欠陥を列挙したForm 483を所有者に交付します。Form 483は、指摘されたカテゴリーごとに具体的な観察結果を記載します。たとえば、McNeil Consumer Products の工場検査後のForm 483では、品質システム、ラベル・包装システム、試験室運用、資材管理、施設・設備に関するコメントが示されています。
是正・紛争解決
Form 483が発行された施設で承認待ちの薬剤がある場合、FDAは問題が適切に解決されるまで承認を保留できます。FDAは「Guidance for Industry(業界向け指針)」で、cGMPに関する科学的・技術的問題の正式な紛争解決手続きを示していますが、まずは検査官と非公式に合意を目指すことが推奨されています。
