公衆衛生上重要な臨床疾患
臨床疾患とは、医師が認識できる兆候や症状が現れ、診断が可能な病気のことです。一方、潜在性疾患は症状が出ないか、初期段階で症状が乏しい状態です。多くの臨床疾患は感染性であり、適切に管理・封じ込めが行われなければ公衆衛生上大きなリスクとなります。
インフルエンザ
インフルエンザ(流感)は、さまざまなウイルスが原因で起こる一般的な感染症です。感染は、感染者との直接接触、ウイルスが付着した物体に触れること、または空気中の飛沫によって広がります。鳥インフルエンザやH1N1などの特定株は、年齢を問わず致死的になることがありますが、一般的な株でも幼児、高齢者、免疫力が低下している人は重症化しやすいです。主な症状は発熱、鼻づまり、嘔吐、下痢、全身の疼痛などです。抗ウイルス薬で症状期間を短縮できるものもありますが、多くは自然に経過します。ワクチン接種は予防に有効です。
結核
結核は、空気中の微小な飛沫を介して広がる高度に感染力のある細菌性疾患です。主に肺に感染し、肺組織を破壊しますが、骨や脳など他の部位に転移することもあります。活動性肺結核の症状は、3週間以上続く咳、血痰、極度の倦怠感、胸痛などです。治療せずに放置すると致命的になる可能性があります。治療は数か月にわたる複数の抗結核薬の併用が標準です。
エイズ(HIV感染症)
エイズ(後天性免疫不全症候群、AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる感染症で、現在根治療法はありません。ウイルスは白血球(CD4+ T細胞)を攻撃し、患者は肺炎や髄膜炎などの二次感染症に罹りやすくなります。感染は血液、精液、膣分泌液、母乳などの体液を介して血流に入ることで広がります。世界保健機関によると、感染者は約3,950万人に上ります。治療は抗レトロウイルス療法(ART)により免疫機能を維持し、ウイルス量を抑制することで病状の進行を遅らせます。
