セシウム‑137の健康リスク
セシウム‑137が環境中に広がった経緯
セシウム‑137は、1950〜60年代の大気核実験による降下物(フォールアウト)として全世界に拡散し、自然環境中を自由に移動します。また、1986年のウクライナ・チェルノブイリ事故でも大量に放出され、現在でも汚染が残っています。
曝露経路
主な曝露は土壌や水からです。放射性崩壊により年々濃度は低下していますが、飲料水中に検出されることがあります。米国環境保護庁(EPA)は、日常的な環境曝露は公衆衛生上のリスクとみなさないとしています。ただし、金属スクラップ場や埋立地、医療実験室での不適切な取り扱い、原子力発電所の事故など、特定の産業や事故時には急性曝露の可能性があります。
体内でのセシウム‑137の挙動
セシウム‑137はガンマ線による外部被ばく、吸入、摂取のいずれかで体内に取り込まれます。細胞の染色体に損傷を与え、細胞生物学を乱すことで分子が分解され、フリーラジカル(単独の電子)が生成されます。低レベルでは細胞の修復機構が機能しますが、高濃度の曝露は修復能力を上回り、骨髄やリンパ節といった組織が特に影響を受けやすくなります。
がんとの関係
フリーラジカルや細胞損傷により、セシウム‑137が蓄積した部位でさまざまながんが発生します。チェルノブイリ事故後、放射性ヨウ素による甲状腺がんが2,000件以上報告されましたが、ソ連当局はセシウム‑137が長期的ながん死亡率に与える影響は放射性ヨウ素の約9倍になると推定しています。
