茎伸長と果実成長を促す植物ホルモン

植物ホルモンは、植物内部で自然に生成される有機化合物で、産生部位とは別の場所で微量に作用し、成長や様々な生理機能を調整します。茎や葉、花の形成だけでなく、葉の落下や果実の形成・成熟にも関与しています。ホルモンは「成長ホルモン」「成長調整物質」「フィトホルモン」などとも呼ばれます。

歴史的背景

植物ホルモンの研究は、1881年にチャールズ・ダーウィンがコレオプティルの先端を一方向の光に当てると先端が光の方へ曲がることを観察したことに始まります。この現象の解明から、ヒト尿から「オーキシンA」(オキシン酸)というホルモンが単離されました。その後、オーキシンBやインドール酢酸(IAA)と呼ばれる「ヘテロオキシン」も発見され、現在では多数の植物ホルモンが同定・単離されています。

オーキシン (Auxins)

オーキシンは、主にコレオプティルや新芽の先端で合成され、成長点に少量存在し、基部へと移動します。オーキシンは器官分化に重要な役割を果たし、若い茎の切断面に高濃度のオーキシンを塗布すると、未分化のカルス組織が形成されます。また、果実の成熟にも関与し、雌しべ組織を刺激して果実を形成させます。葉や花、果実の離脱(落葉・落果)もオーキシンで調整でき、収穫前に適切に散布すれば、早期落果を防止できます。

ジベレリン (Gibberellins)

ジベレリンは発芽したばかりの苗や、伸長中の子葉・葉に豊富に存在し、高等植物の成長調整に欠かせません。主に茎節間の伸長を促進し、矮性(デューファー)形質の改善や稲の苗の伸長に利用されます。また、休眠解除、開花、果実形成にも関与し、濃度が高いと雄花の形成を、低いと雌花の形成を促します。

シトキニン (Cytokinins)

シトキニンはかつて「キニン」「フィトキニン」「ケニチン」などと呼ばれ、細胞分裂を促進する植物ホルモンとして広く利用されています。低濃度では根の形成を、比較的高濃度では芽の分化を誘導し、未分化組織から新しい器官を誘発します。

フロリゲン (Florigen)

フロリゲンは開花を促進する信号分子で、葉から芽へと移動し、開花を開始させます。一方、開花を抑制する因子も存在し、これらは芽に蓄えられています。

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