スペイン風邪の事実

影響を受けた地域

1918年のスペイン風邪は世界的な大流行で、ヨーロッパや北米だけでなく、太平洋の離島など遠隔地にも広がりました。約5億人が感染し、世界人口の25〜30%が急性の症状を示し、感染者の2.5%以上が死亡しました。通常のインフルエンザ流行での死亡率は0.1%程度です。ウイルスは米国で最初に出現したと考えられていますが、ヨーロッパやアジアでも同時期に症例が報告されたため、正確な発生源は不明です。

スペイン風邪が流行した時期

第一波は1918年3月に始まり、北米・ヨーロッパ・アジア全域に広がりました。第二波は1918年9月から11月にかけて世界的に拡大し、第一波よりもはるかに致死性が高かったとされています。1919年初頭には第三の致死波が多くの地域で発生し、1年以内に複数回の波を起こした点が異例です。

ウイルスの系統

インフルエンザウイルスはA、B、Cの3型があり、最も危険なのはA型です。スペイン風邪はA型ウイルスのH1N1亜型に属します。1918年ウイルスのゲノムは鳥インフルエンザウイルスと関連があり、人間と古典的な豚インフルエンザH1N1ウイルスの祖先とされています。つまり、鳥インフルエンザが変異して人に直接感染し、続いて豚へと拡がったと考えられています。

異常な特徴

1年以内に複数回の流行を引き起こした原因は未解明ですが、ウイルスの致死性は異常に高いです。1918年10月だけでフィラデルフィアで約11,000人が死亡し、半年間で米国だけで675,000人が死亡しました。季節性インフルエンザの米国での年間死亡者数は約36,000人です。また、通常は幼児や高齢者が重症化しますが、スペイン風邪は健康な若年成人(15〜34歳)に特に致命的で、死亡率は通常の20倍に達しました。

死亡メカニズム

多くの死者は抗生物質が存在しなかった当時、ウイルス感染に続く細菌性肺炎で亡くなりました。さらに、症状が出て数時間以内に肺出血や肺水腫により血液や痰で窒息し、急死するケースもありました。ウイルスは呼吸器系で急速に増殖します。

豚インフルエンザとの関係

1918年以前、豚にインフルエンザウイルスは存在しませんでしたが、第二波の頃に米国中西部で豚インフルエンザが初めて確認されました。その後、ヨーロッパや中国でも同様の流行が報告され、翌年も米国で動物間流行(エピゾート)が続きました。以降、豚は毎年インフルエンザウイルスに感染し続け、鳥と人の両方からウイルスを受け取ることができるため、2009年のH1N1など混合型ウイルスのリスクが高まっています。

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