膝関節置換術における感染症

重要性

全人工膝関節置換術における感染は、手術後の合併症の中でも最も深刻です。軽度の場合は再手術が必要となり、重症になると四肢切断や死亡に至ることがあります。関節内に細菌が定着すると除去が難しく、全身へ拡散しやすくなるため、早期発見と迅速な対処が不可欠です。

感染の兆候

感染が疑われる主なサインは以下の通りです。

  • 関節部の腫脹・発熱、患部の熱感
  • 発熱(体温上昇)
  • 切開部からの膿や異臭のある分泌物、皮膚の変色
  • 切開部周囲や関節内の激しい痛み、紅斑

これらの症状を放置すると、敗血症や壊疽を引き起こし、最悪の場合は四肢切断や死亡につながります。回復期間中は常に注意深く観察することが重要です。

予防と対策

感染予防は手術室の無菌管理と術後の創部ケアが鍵です。具体的には以下が推奨されます。

  • 手術室の清浄度を徹底し、滅菌器具を使用する
  • 術後は創部を清潔に保ち、手指消毒や適切なドレッシング交換を行う
  • 医療従事者からの菌持ち込みを防ぐため、スタッフの手指衛生を徹底する
  • 皮膚常在菌(例:ブドウ球菌)は体が弱ると感染リスクが高まるため、必要に応じて抗菌薬予防投与を検討する

治療方法

感染が確定した場合、最も一般的な治療は「リビジョン手術」です。手術では以下を行います。

  • 感染した人工関節と周囲組織をすべて除去
  • 関節腔を抗菌薬で洗浄
  • 抗菌薬を含浸させたスペーサー(抗菌薬リリース型)を一時的に挿入し、数か月間にわたり薬剤を放出
  • 再度新しい人工関節を装着(場合によっては再度リビジョンが必要)

重症例では長期にわたる抗菌薬の経口投与が必要になることがあります。

注意喚起

回復期に上記の症状が現れたら、直ちに医師の診察を受けてください。感染が進行するほど治療は困難になり、再手術の回数は限られています(一般的に生涯で2回まで)。早期対応が予後を大きく改善します。

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