甲状腺摘出手術における麻酔合併症と回復ポイント

甲状腺とは

甲状腺は頸部の基部に位置する蝶形の小さな内分泌腺で、体内の代謝全般、特にエネルギー消費率を調節します。

甲状腺摘出術(甲状腺切除)

甲状腺癌やバセドウ病などの疾患により、甲状腺全体または一部を外科的に除去します。手術は首の前面に小さな切開を行い、甲状腺を取り除く形で実施されます。術後は首の痛みや声のかすれが生じることがあります。

全身麻酔

甲状腺摘出術は主に全身麻酔で行われ、患者は手術中意識がなくなります。全身に影響を及ぼすため、健康な人でも稀に合併症が起こります。主なリスクは脳卒中、血栓、心筋梗塞などの循環系合併症で、重大なものは手術自体の合併症と関連しています。

局所麻酔

一部の施設では、入院期間短縮を目的に局所麻酔を選択することがあります。局所麻酔のリスクは低いものの、過剰投与により全身毒性が起こる可能性があります。全身毒性は血圧、心拍数、呼吸に影響し、重篤になることがあります。

区域麻酔

極めて稀に、神経または神経叢へ麻酔薬を注入する区域麻酔が使用されます。局所的な感覚遮断は得られますが、神経損傷による慢性的な脱力、しびれ、疼痛のリスクがあります。また、全身毒性が起こりやすく、心肺機能に問題を生じさせることがあります。注射部位の腫脹や瘀血も軽度の合併症として報告されています。

使用薬剤とアレルギー反応

麻酔に使用される薬剤に対してアレルギー反応が起こることがあります。稀ではありますが、悪性高熱(Malignant Hyperthermia, MH)という重篤な症状を引き起こすことがあります。MHの主な症状は血圧・心拍数の急上昇、体温の急激な上昇で、迅速な治療が必要です。

まとめ

甲状腺摘出術では、全身・局所・区域のいずれの麻酔を選択しても、合併症のリスクは存在します。手術前に麻酔科医と十分に相談し、リスクを把握したうえで適切な麻酔法を選択することが、術後の安全な回復につながります。

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