熱帯雨林の薬用植物と動物

何千年もの間、世界中の先住民は現地で採取した植物を医療に利用してきました。その知識は多くの場合、シャーマンやウィッチドクターと呼ばれる専門家を通じて世代間で受け継がれています。熱帯雨林は約5,000種もの薬用植物の宝庫であり、そのうち一部は先進国でも医薬品として実証・商品化されています。一方、動物を用いた薬効の研究はまだ十分に進んでいません。

シンコナとコカ

  • シンコナ樹皮は天然キニーネの最も重要な供給源です。1633年にイエズス会宣教師がマラリア治療薬として記録しました。

    コカは高さ約3メートルに成長する常緑低木で、先住民は歯痛や全身の鎮痛に利用してきました。西洋医学では局所麻酔薬ノボカインや、依存性の低い各種麻酔薬の開発につながっています。

イペカとマテ茶

  • イペカ(イペカヌア)は市販の咳止めに含まれ、ブラジルの先住民は赤痢治療にも使用します。根から抽出した強い催吐剤で、薬物過剰摂取時の救急処置に有用です。ただし使用には注意が必要です。

    マテは高さ約6メートルの常緑樹で、葉は南米でお茶のように飲まれ、頭痛・偏頭痛・疲労・うつ・リウマチ痛の緩和に用いられます。

パレイラとラパチョ

  • パレイラの根茎から抽出されるクレアは、熱帯雨林部族が矢毒として使用する麻痺剤です。西洋では手術時に筋肉を弛緩させる麻酔薬チューボキュラリン塩酸塩として開発されました。また、経口摂取で下剤・利尿剤・月経促進剤としても利用されます。

    ラパチョは樹皮が何世紀も前から抗炎症・万能薬として用いられ、がん治療への有効性も研究されています。

鎮痛性カエル(エピブペドバテス・トリコロール)

  • 熱帯雨林に生息するこのカエルは捕食者から身を守るために有毒な皮膚分泌物を持ちます。米国国立衛生研究所の研究により、この毒素からモルヒネの200倍の鎮痛効果を持つ新薬ABT‑594が開発されました。現在、生産が進められていますが、胃腸への副作用が課題となっています。

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