がんに効くハーブの力
がんは現代社会で最も一般的な疾患の一つで、体のほぼすべての部位に発生し得ます。正常な細胞が変異してがん細胞になると、腫瘍が形成され、激しい痛みや倦怠感、最終的には死に至ることがあります。幸いにも、植物由来のハーブ成分の中には、がん細胞に自滅(アポトーシス)を起こさせるものが多数発見されています。ここでは、抗がん作用が実証されている有力なハーブと、最新の研究動向をご紹介します。
歴史
がんは人類の歴史と同じくらい古くから存在していたと考えられますが、現在ほど広く報告されていたかは不明です。産業活動による副産物の多くが発がん性物質であり、現代のがん増加に大きく影響しているとされています。歴史的に多くの伝統社会は、がんと疑われる腫瘍や原因不明の疾患に対し、植物性のハーブ療法を用いてきました。近年、科学者たちがこれら伝統的な自然療法を体系的に検証し、期待以上の効果が報告されています。
霊芝(Ganoderma lucidum)
霊芝は日本では「霊芝」と呼ばれ、アジアの伝統医学で千年以上にわたり「不老長寿の草」として利用されてきました。近年では、がん細胞の増殖抑制や転移阻止の可能性が注目されています。2002年11月に『Biochemical and Biophysical Research Communications』に掲載された研究では、粉末状の霊芝抽出物が侵襲性の高い乳がんおよび前立腺がん細胞の拡散を阻止することが示されました。
ヨモギ(Artemisia absinthium)
ヨモギは強い芳香と苦味を持つハーブで、ヨーロッパの民間医学やリキュール「アブサン」の主要成分として古くから利用されてきました。近代の研究でも、ヨモギに含まれる特定の化合物ががん細胞に対して選択的にアポトーシスを誘導し、腫瘍の増殖を抑えることが明らかになっています。1980年にギリシャの国際抗がん研究所が発表した報告では、ヨモギ抽出物ががん細胞の死滅と腫瘍成長の抑制に有効であると示されました。
ユリの爪(Uncaria tomentosa)
ユリの爪は南米の先住民が古くから利用しているハーブで、免疫調整や抗炎症作用が知られています。がん治療の補助としても注目されており、2001年7月・8月号の『Anticancer Research』に掲載された研究では、ユリの爪抽出物が乳がん細胞の増殖を最大90%抑制することが報告されています。
可能性
上記のハーブに共通する抗がん効果は、がん細胞に特有の毒性物質やシグナル伝達経路を阻害する多数の化合物に起因すると考えられます。世界中で使用されている植物は数千種に上り、同様の作用機序を持つものも多く存在します。したがって、今後も新たな植物性ハーブががん治療の有力な選択肢として期待されています。
