逆転肩関節置換術のリハビリテーションプロトコル
逆転肩関節置換術について
回転腱板損傷や特定の段階の関節炎、あるいは従来型の肩関節置換が失敗した患者は、逆転肩関節置換術(Reverse Total Shoulder Replacement、RTSR)の適応となります。この比較的新しい手術は、従来の選択肢がほとんどなかった患者に高い成功率を示しており、近年、採用する外科医が増えています。
手術は通常入院で行われ、術後数日間は入院が必要です。手術中に肩の構造を逆転させ、従来の「ソケット(肩甲骨側)+球(上腕骨側)」の構造を「球(肩甲骨側)+ソケット(上腕骨側)」に置き換えます。これにより、回転腱板が機能しなくても、人工関節が安定して動作できるようになります。
回復と理学療法
手術後6〜8週間ほどで、日常生活への復帰が目指せます。回復は3つのフェーズに分けられ、軟部組織の治癒を促すプログラムが組まれます。個々の状況に応じて、術後最大6週間はスリングで腕を固定することがありますが、早期に理学療法を開始できるケースもあります。
フェーズⅠ:軽い可動運動
この段階では、ペンデュラム運動などの軽い可動運動のみを行います。腕を自然に垂らし、時計の振り子のように揺らすことで関節の動きを促し、筋肉の硬直を防ぎます。抵抗を伴うトレーニングは行いません。
フェーズⅡ:可動域の拡大
理学療法士の指導のもと、ストレッチングを中心としたエクササイズを行い、肩関節の可動域を広げます。日常生活での軽い動作は可能になりますが、重いものを持ち上げることや筋力トレーニングはまだ行いません。
フェーズⅢ:筋力強化
軟部組織が十分に回復した段階で、筋力トレーニングを開始します。手術前に痛みで肩を使わずに萎縮した筋肉の再活性化を目的とし、同時にストレッチングは継続します。適切な負荷で徐々に筋力を回復させ、日常生活やスポーツ活動への復帰を目指します。
