うつ病の神経生理学的メカニズムとは
辺縁系 (Limbic System)
脳の辺縁系は視床下部、扁桃体、海馬から構成され、気分・記憶・ホルモン産生を調節し、うつ病の感情的・行動的側面に影響を与えます。
ホルモンと内分泌系
視床下部は下垂体と副腎という二つの内分泌腺を制御します。これらの腺はノルエピネフリン、コルチゾール、カテコラミンといったストレスホルモンを分泌し、交感神経・副交感神経系に影響を及ぼします。
末梢神経系
交感神経と副交感神経は心拍数・呼吸数・血流などの自律的な生理機能を調整します。うつ病ではこれらのバランスが乱れ、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるような状態になります。
神経伝達物質
神経伝達物質はニューロン同士の情報伝達を担う化学物質です。セロトニン、ノルエピネフリン、ドーパミンの3つは辺縁系で重要な役割を果たし、うつ病に関与します。抗うつ薬はこれらの神経伝達物質の利用可能性を調整します。
脳由来神経栄養因子 (BDNF)
BDNFは脳内の化学物質で、ニューロン上に神経伝達物質受容体部位を増やす働きがあります。BDNFが多いほど「受信パッド」が増え、他のニューロンからの信号を受け取りやすくなります。ストレスやうつ病ではBDNFレベルが低下し、抗うつ薬はストレスがBDNFを減少させる影響を抑えることで効果を発揮すると考えられています。
