メラトニンと季節性情動障害

メラトニンは睡眠リズムや概日リズムを調整する脳内ホルモンです。近年、自然光の変化に伴うメラトニン過剰産生が季節性情動障害(SAD)の原因の一つと考えられていますが、決定的な研究はまだ不足しています。

メラトニンの生成

メラトニンは脳の上部にある松果体で合成されます。トリプトファンというアミノ酸を原料にして作られ、暗闇が主な刺激です。明るい光は生成を抑制するため、夜間に血中濃度が上昇し、昼間は低くなります。

メラトニンの作用

正確な役割は不明ですが、眠気や食欲(特に糖分への欲求)を促進し、睡眠時間を延長させる効果が知られています。そのため、慢性的な不眠、双極性障害、時差ぼけなどの治療にメラトニン製剤が利用されることがあります。

季節性情動障害(SAD)

SAD は季節の変わり目、特に夏から秋・冬への移行期に発症しやすいうつ状態です。主な症状は気分の落ち込み、エネルギー低下、過眠、食欲増加(甘いものへの渇望)などです。冬型が最も一般的で、抗うつ薬や全光スペクトル光療法が有効とされています。

メラトニンとSADの可能性

暗い季節にメラトニンが増加し、SAD の症状と類似するため、メラトニンが原因と考えられます。抗うつ薬がメラトニン受容体を阻害する点もこの仮説を支持します。しかし、光が最も強い夏に発症する「夏型SAD」も存在し、単純な因果関係は説明できません。

研究結果

過去10年間でいくつかの小規模研究が実施され、特にアルフレッド・J・ルーイ博士の研究が注目されています。対照群とSAD患者群のメラトニン濃度を比較した結果、特定のサブグループでメラトニンが症状に影響を与える可能性が示唆されましたが、対象となる患者像はまだ明確にされていません。

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