リチウム

リチウムはアルカリ金属に属する最軽金属で、柔らかく扱いやすい特性があります。産業用途も多いですが、精神科領域での利用が特に有名です。ナトリウムの体内流れに影響を与えることで、躁状態や興奮を抑える効果があり、1950年代以降、うつ病、双極性障害、統合失調症などの治療に用いられています。

腎性尿崩症(腎性糖尿病)

腎性尿崩症は、抗利尿ホルモン(ADH)が腎臓の集合管に正しく働かないために起こる疾患です。結果として腎臓が水分を再吸収できず、大量の尿が排泄されます。糖尿病と混同されがちですが、血糖値の上昇が原因の「糖尿病性尿崩症」とは異なります。

原因

腎性尿崩症の主な原因は、リチウムの長期使用です。その他、特定の薬剤の過剰使用や電解質異常、尿路閉塞などもリスク要因となります。手術などの大きな生理的変化があると、リチウム服用中の患者で発症しやすくなることが報告されています。また、遺伝的に男性に多く見られるタイプもあり、女性は遺伝子保因者であることがあります。

症状

主な症状は「多尿」と「多飲」です。十分な水分補給が行われないと、脱水、倦怠感、イライラ感、筋肉痛、頭痛、体温低下、頻脈、体重減少などが続きます。血中ADH濃度が上昇していることや、血清の溶質濃度が高く、尿中の溶質濃度が低いといった検査所見も見られます。

治療法

リチウムの使用を中止すれば症状が改善することがあります。さらに、チアジド系利尿薬(例:ヒドロクロロチアジド)は腎性尿崩症による多尿を抑える効果があります。治療は短期的に行う場合もあれば、長期的に管理が必要になる場合もあり、必ず医療従事者の指導のもとで実施してください。