クローン病がもたらす小児の骨密度低下と対策
クローン病とは
クローン病は消化管に炎症を起こす自己免疫性疾患で、原因は完全には解明されていません。食物や腸内細菌を異物と認識した免疫系が過剰に反応し、白血球が絶えず炎症部位に集まります。その結果、腸壁に潰瘍ができ、症状が悪化すると乳製品などの特定の食品がさらに症状を刺激します。乳製品は多くの人にとって主要なカルシウム源であるため、摂取が制限されがちです。
カルシウムの重要性
カルシウムは骨や歯の形成に不可欠なだけでなく、血液凝固、筋肉収縮、神経伝達、ホルモンや酵素の分泌にも関わります。長期間にわたって不足すると、骨粗鬆症だけでなく、心血管や脳機能にも悪影響を及ぼす可能性があります。
クローン病と骨密度低下
体内の利用可能なカルシウムが不足すると、骨を構成する細胞(破骨細胞)が骨からカルシウムを放出しようとします。その結果、骨密度が低下し、骨折しやすくなります。研究では、クローン病患者は骨ミネラル密度が低いことが多く、痛みを伴う骨折のリスクが高いことが示されています。
小児への影響
成長期の子どもはカルシウムをはじめとするビタミン・ミネラルが大量に必要です。クローン病により栄養吸収が妨げられると、正常な成長速度が阻害され、身長や筋肉量の伸びが遅れます。炎症や潰瘍、瘢痕組織が腸内で代謝を乱すため、たんぱく質など他の栄養素の吸収も低下し、全身的な発育不全につながります。
治療と対策
現在、クローン病の根本的な治療法はありませんが、栄養不良や症状を緩和するためのさまざまな手段があります。抗炎症薬や免疫抑制薬で炎症をコントロールし、必要に応じて高カロリーのサプリメントや経口・静脈栄養を行います。重症例では外科手術が必要になることも多く、患者の約70〜75%が一度は手術を受けると報告されています。
