Ingrezza(バルベナジン)の遅発性ジスキネジアと舞踏病への作用メカニズム

Ingrezza(バルベナジン)とは

Ingrezzaは、米国とカナダで承認された、第一世代の選択的な小胞モノアミン輸送体2(VMAT2)阻害薬です。VMAT2はドーパミン、セロトニン、ノルエピネフリンなどの神経伝達物質をシナプス小胞へ取り込む役割を持ちます。Ingrezzaはこの機能を選択的に抑制し、シナプス内の神経伝達物質量を減少させることで、遅発性ジスキネジア(TD)や舞踏病(コレア)の症状を改善すると考えられています。

遅発性ジスキネジア(TD)

TDは、抗精神病薬を長期間使用した後に起こり得る運動障害で、顔面や口、四肢の不随意で反復的な動きを特徴とします。正確な原因は不明ですが、ドーパミンをはじめとする神経伝達物質のバランスが崩れることが関与しています。

特に線条体でのドーパミン放出が過剰になると、不随意運動が顕在化します。Ingrezzaは線条体のシナプス小胞へのドーパミン再取り込みを阻害し、放出可能なドーパミン量を減らすことで症状を軽減します。

舞踏病(コレア)

コレアは、顔面・胴体・四肢に不規則で予測不能な不随意運動が現れる疾患で、ハンチントン病やパーキンソン病、脳卒中などさまざまな基礎疾患が原因となります。線条体におけるドーパミンなど神経伝達物質の不均衡が共通した病態と考えられ、IngrezzaはTDと同様のメカニズムでドーパミン再取り込みを抑制し、症状を緩和します。

安全性と注意点

Ingrezzaは比較的耐容性が良く、頭痛、悪心、めまい、眠気といった軽度の副作用が報告されています。ただし、神経遮断薬悪性症候群(NMS)の既往がある方や、未治療・コントロール不良の狭隅角緑内障の患者には禁忌です。

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