障害の医療モデルがサービス提供に与える影響とは
医療モデルは、障害を「治すべき医療的問題」と捉える視点です。この考え方は、障害者支援の現場にさまざまな影響を及ぼします。
医療モデルの課題
1. 個人の障害に焦点を当てる
障害者本人の欠損や機能低下にのみ注目し、強みや可能性を軽視しがちです。その結果、リハビリや治療に偏り、社会的・情緒的ニーズが置き去りになります。
2. 父権的アプローチ
専門家が障害者の意思や同意を無視して決定を下すことがあり、自己決定権が奪われます。
3. スティグマと差別の助長
障害を「修正すべき」ものとして描くことで、社会からの排除や教育・就労機会の喪失につながります。
4. サービスへのアクセス制限
高額で専門的な医療サービスに重点が置かれ、広く利用できる支援が不足します。その結果、多くの障害者が必要な支援を受けられません。
5. 予防への関心不足
障害が発生した後の治療に焦点が当たり、早期介入や予防策が見過ごされます。
6. 治癒への過度な期待
すべての障害が「治せる」前提は現実的でなく、期待外れや失望を招きます。
7. 障害者の参画機会の欠如
支援やサービスの意思決定に障害者自身が関わる機会が少なく、社会参加が阻害されます。
8. 家族への支援不足
障害者の家族に対するサポートが不十分で、ストレスや孤立が深まります。
代替的障害モデル
医療モデルに代わる考え方として、社会モデル・人権モデル・生物心理社会モデルなどがあります。これらは障害を「社会的構築物」と捉え、包摂とエンパワーメントを重視します。
1. 強みと能力に注目する
障害者の持つ能力や資源に焦点を当て、身体的・情緒的・社会的・知的ニーズを総合的に支援します。
2. エンパワーメントの推進
情報提供や支援体制を整え、障害者自身が意思決定に参加できる環境を作ります。
3. 包摂的社会の実現
教育、就労、余暇活動、政策決定など、すべての領域で障害者の参加を促進します。
4. 予防と環境調整
障害を招く社会的・環境的要因に取り組み、障害の発生や悪化を防ぎます。
5. 家族への包括的支援
家族が抱える負担を軽減するための相談・支援サービスを提供し、共に暮らす環境を整えます。
