内耳穿孔(ペリリムフィスチュラ)の治療
内耳は、液体で満たされた内耳腔と中耳を分ける卵形窓(oval window)または円形窓(round window)という小さな膜があります。この膜に裂け目ができると、ペリリムフィスチュラ(内耳液漏)が生じます。主な原因は頭部外傷ですが、潜水時の圧力変化や耳の感染症も関与することがあります。治療は安静療法が基本で、重症例では外科手術が検討されます。
症状
- 中耳圧の変化に伴う平衡感覚の障害が主な症状です。めまい、ふらつき、吐き気、場合によっては嘔吐を伴うことがあります。
- 耳鳴りや難聴が起こることもあります。
- 激しい運動や高度の上昇は症状を悪化させるため、穿孔が治癒するまで避けるべきです。
医療・自宅での治療
- まずは頭部を高く保った安静が推奨されます。通常、5〜7日間のベッドレストで自然に治癒することが多いです。
- 再診で穿孔が残っている場合は外科手術が検討されます。
- 飛行機搭乗時は耳栓を使用し、耳内圧の変動を抑えると効果的です。
- 必要に応じて、ジアゼパム(バリウム)やロラゼパムなどの鎮静剤が処方されることがあります。
外科手術
- 症状が1か月以上改善しない場合、または外傷や手術が原因と明らかな場合に手術が選択されます(Troy Callender 医師、Baylor College of Medicine)。
- 手術では中耳を開口し、窓部の液体漏れを確認します。トレンドレンブルグ体位、頸内静脈圧迫、バルサルバ法などの特殊手技で視野を確保します。
- 穿孔が見つからなくても、筋膜、脂肪、弛緩性結合組織、軟骨被膜などで窓部を封鎖することで治癒が期待できます。
換気チューブの挿入
- 換気チューブは中耳の鼓膜の圧力変動を緩和し、穿孔やその他の損傷による症状を軽減します(Timothy Hain 医師、Otology & Neurotology 2003年)。
内視鏡下修復およびシャント療法
- 内視鏡を用いた窓部修復は視野が限定されるため推奨されませんが、シャントは重度の頭痛、めまい、耳鳴りがある患者に限定的に使用されます(Journal of Neurosurgery 2006年)。
- 2001年11月号の「Otology & Neurotology」では、内視鏡ガイド下の円形窓修復が、穿孔の特定と最小侵襲的修復に有効であると報告されています。
