偽剥離症(PEX症候群)
疫学
PEX症候群は50歳以上の高齢者に多く見られ、10年ごとに罹患率が倍増します。北欧諸国(ノルウェー、スウェーデン、フィンランド)やサウジアラビア、アフリカで特に高頻度です。女性にやや多いですが、緑内障と併発する割合は男女同等です。遺伝的要因が強く、ウイルス感染、自己免疫反応、日光曝露などが発症を促すと考えられています。
特徴
虹彩から産生されるタンパク質が眼球内の水晶体被膜や角膜内皮に灰色の斑点状沈着物として現れます。虹彩と瞳孔の縁は「蛾食い」様に見え、沈着物が房水排出路を塞ぎ、偽剥離性緑内障を引き起こします。腎臓、肝臓、心臓、肺、皮膚など全身の組織にも同様の沈着が認められます。
主な所見
最も顕著なのは水晶体被膜上の剥離性物質の沈着で、健康な眼でも外観が変化します。虹彩縁にもフレークが付着し、血管が減少します。PEXは二次性開放隅角緑内障の最も一般的な原因で、一次性緑内障よりも管理が困難です。
リスク
国際会議の報告によれば、PEX自体は全身性疾患と直接結びつかないものの、アルツハイマー病や急性脳血管障害、脳卒中、高血圧、網膜静脈血栓症のリスクが高まります。また、眼内の偽剥離沈着は病原性微生物の増殖と関連しています。
治療
定期的な眼科検査で沈着物の進行を観察し、緑内障が発症した場合は標準的な薬物療法が行われます。チモロールマレイン酸塩点眼(1日2回)やゲル、アプラクロニジン併用、ラタノプロスト、ドゥルゾラミドなどが眼圧低下に有効です。アルゴンレーザー房水流路形成術や、沈着物除去手術も効果的で、薬物療法やレーザーよりも優れることがあります。
