クッシング症候群と妊娠

正常なコルチゾールの働き

コルチゾールは副腎から分泌され、血圧や血糖の調整など多くの生理機能に必須です。分泌は視床下部・下垂体からのホルモンで制御され、これらの部位に腫瘍ができるとクッシング症候群を引き起こします。

クッシング症候群

過剰なコルチゾールまたは類似物質が原因で起こる症候群で、中心性肥満、倦怠感、筋力低下、高血圧などが主症状です。最も多い原因はステロイド薬の長期使用です。妊娠中に見られることは稀です。

受精と妊娠初期

下垂体や視床下部の腫瘍がコルチゾールを過剰に産生すると排卵が抑制され、妊娠はほぼ不可能になります。ただし、妊娠中に腫瘍が発生するケースも報告されており、診断は妊娠によるコルチゾール上昇と区別が難しいです。また、他の疾患治療のためにステロイド投与された場合もクッシング症候群が起こります。

妊娠における合併症

過剰コルチゾール自体は胎児に直接大きな害は少ないものの、母体の高血圧や妊娠糖尿病を誘発しやすく、これが胎児の成長阻害や早産、最悪の場合は胎児死亡につながります。特に高血圧は子癇(妊娠中毒症)のリスクを高めます。

妊娠中の治療

根本的な治療は腫瘍の外科的除去ですが、妊娠中の手術や麻酔は母体・胎児の状態によってリスクが増大します。そのため、軽症例は出産後に手術を延期し、重症例はリスクとベネフィットを慎重に比較した上で治療方針を決定します。多くの薬剤は胎児への安全性が確立されていないため、使用は制限されます。

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