回虫(Ascaris lumbricoides)感染症
回虫(Ascaris lumbricoides)は最大の線虫で、人間の腸内に寄生し成長・繁殖します。軽度の感染は症状が出にくいものの、数百匹が寄生すると栄養吸収障害や腸閉塞など深刻な合併症を引き起こします。
感染経路
感染は、糞便に含まれる卵が付着した食物や飲料水を摂取することで起こります。特に、糞便を肥料として利用する農地や、衛生環境が不十分な地域での野外遊びで子どもが汚染土壌に触れることがリスクです。卵を摂取すると、数日で孵化し幼虫が血流を介して肺へ移動し、約2週間で腸に到達して成虫になります。成虫は約2年生存します。
主な症状・疾患
回虫感染は以下のような症状や疾患を引き起こすことがあります。
- 栄養吸収不良、食欲低下
- 腸閉塞や腸穿孔、盲腸炎
- 肝臓・膵臓の導管閉塞による合併症
好酸球性肺炎(単純好酸球性肺炎)
幼虫が肺に移動すると、肺内に好酸球が集まり「単純好酸球性肺炎」と呼ばれる肺炎を引き起こします。胸痛、咳、発熱、喘鳴、息切れなどの症状が現れ、早期の医療受診が必要です。
治療法
軽度の感染では自然に成虫が交尾できず自然退縮することがありますが、重度の場合は抗寄生薬(アルベンダゾール、メベンダゾール等)で駆除します。治療後に腹痛や下痢が起こることがありますが、症状が続く場合は医師に相談してください。腸閉塞や穿孔が起きた場合は外科手術が必要です。
予防・対策
感染率が高い熱帯・亜熱帯地域では、以下の対策が有効です。
- ボトルウォーターや浄化された水だけを飲む
- 生の果物・野菜は自分で加熱調理するか、食べない
- 食事前・トイレ後に石鹸で手をしっかり洗う
これらの衛生管理を徹底すれば、再感染リスクを大幅に減らせます。
