胎盤前置の病態生理と診断

妊娠中に起こりうる合併症は多岐にわたり、順調に進むことは奇跡的です。その中でも出血は重大な合併症の一つで、多くは胎盤や付着部位の問題が原因です。胎盤前置は稀ながらも注意が必要な疾患です。本稿では早期発見のサイン、診断法、合併症、治療法について解説します。

病態生理

胎盤は子宮壁に付着し、胎児の血液供給と母体の栄養・酸素の交換を担います。正常妊娠では胎盤は子宮の上部・後壁に位置しますが、胎盤前置では子宮の下部に付着し、胎児の下に位置します。胎盤前置の予防策はなく、全妊娠の1%未満に発生します。リスク要因としては35歳以上、喫煙歴、経産婦(特に帝王切開既往)、多胎妊娠、過去の胎盤前置、人工妊娠中絶などがあります。胎盤前置は、頸部近くに位置する「辺縁型」、頸部を部分的に覆う「部分型」、頸部を完全に覆う「完全型」の3種類に分類されます。

兆候・症状

胎盤前置は多くの場合疼痛を伴わず、子宮収縮を直接引き起こすことは少ないですが、稀に起こります。最も特徴的な所見は鮮赤色の点状出血です。出血はいつでも起こり得ますが、運動や身体的負荷がかかった時に増える傾向があります。この点状出血は陣痛前の血性分泌物(血性ショー)や分娩時の出血と混同されやすいので注意が必要です。

合併症

適切に管理されない場合、胎盤前置の主な合併症は母体の大量出血です。また、胎児側では胎盤の位置が不適切なため栄養供給が不足し、胎児発育遅延(IUGR)を招くことがあります。

診断

胎盤前置の診断は主に3つの方法で行われます。①超音波検査やMRIにより胎盤の位置と子宮頸部の開口部被覆状況を確認します。②母体の貧血や血液量を評価するための血液検査を実施します。③大量出血で緊急性が高く画像検査が間に合わない場合は、産科用スペキュラムを用いた二重セットアップ検査を手術室で行い、必要に応じて緊急帝王切開に備えます。

治療・介入

治療は出血量や妊娠週数、胎児の成熟度に応じて選択されます。血液検査の結果や出血量に基づき、輸血が必要な場合は実施します。出血が軽度であれば鉄剤の投与が行われます。妊娠37週未満で頻繁に出血がある場合は安静や入院管理、月1回の超音波検査などで胎児の状態を観察します。子宮収縮を抑制する薬剤が投与されることもあります。胎児が成熟している場合、辺縁型前置は経膣分娩が可能ですが、完全前置は安全な分娩のために帝王切開が唯一の選択肢となります。

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