髄膜炎とは何か:概要と予防法
髄膜炎は中枢神経系(脳と脊髄)を覆う薄い膜である髄膜の炎症です。適切な治療が行われないと重度の障害や死に至ることがあります。
歴史
髄膜炎の症状は古代ヒポクラテスの時代から知られていました。17世紀にイギリスの医師トマス・ウルフが初めてこの疾患を記載しました。近年はワクチンの普及により罹患率が低下しています。ワクチン接種により、細菌性髄膜炎の主な原因は、かつての肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)から、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)やインフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)へと変化しました。
重要性
細菌性髄膜炎は治療が遅れると数時間で致命的になることがあります。生存者は聴覚障害や指の欠損、肝酵素異常、凝固障害、てんかん発作などの後遺症を残すことがあります。ウイルス性髄膜炎の中で最も重症になるのはヘルペスウイルスです。その他のウイルスは比較的軽症です。
主な症状
- ほとんどの患者が発熱します。
- 意識障害、痙攣、頸部硬直、頭痛が見られることがあります。
- 小児は全身倦怠感、嘔吐、食欲不振など非特異的な症状が多いです。
- 乳児は刺激に対する過敏性や前頭部のくぼみ(前頭骨髄膜隆起)が見られます。
- 光過敏と首の硬直は髄膜炎の典型的な兆候です。
誤解
髄膜炎はしばしば「脊髄髄膜炎」と呼ばれますが、実際には中枢神経系全体(脳と脊髄)に影響します。
予防と対策
細菌性髄膜炎を予防するワクチンは複数存在します。インフルエンザ菌(H. influenzae)ワクチンにより、かつて乳幼児の主要原因であった髄膜炎はほぼ根絶されました。髄膜炎菌(N. meningitidis)ワクチンも思春期の罹患率を大幅に低下させていますが、対象となる菌株は限られています。患者が髄膜炎と診断された場合、接触者の把握が重要です。髄膜炎菌感染者の近接接触者には抗生物質予防が推奨されます。インフルエンザ菌感染者の接触者への予防は議論があり、予防接種未済の4歳未満の子どもに限定されます。医療従事者は飛沫感染を防ぐため、手袋とマスクの使用が必要です。
