PCOD(多嚢胞性卵巣症候群)について
概要
多嚢胞性卵巣症候群(PCOD)は、月経不順や無月経、肥満、過剰な体毛の増加などを特徴とする女性の疾患です。卵巣に多数の嚢胞ができ、卵胞は成熟せず卵子にならないため、月経周期が乱れます。ハーバード医科大学の調査によると、全女性の約5%が生涯のどこかでPCODを経験するとされています。早期の診断と治療が重要で、放置すると心血管疾患や糖尿病のリスクが高まります。
原因とリスク要因
- インスリン過剰が主な原因と考えられています。過剰なインスリンは卵巣を刺激し、男性ホルモン(アンドロゲン)の産生を増加させます。アンドロゲンの増加は男性的特徴の出現や不妊を引き起こし、結果としてPCODにつながります。
主な症状
- 肥満、皮脂分泌の多い肌、月経周期の不規則または無月経
- 血圧上昇、前糖尿病や2型糖尿病のリスク増大
- 不妊、体全体の過剰な体毛(多毛症)
- 重症例では、首や股間、腋下などの皮膚が暗くなり、ベルベット状になる「アカントーシス・ニグリカンス」が見られることがあります。
診断方法
- 身体検査、経腹または経腟超音波検査、血液検査を組み合わせて診断します。
- 血液検査では、卵胞刺激ホルモン(FSH)・黄体形成ホルモン(LH)・テストステロンなど複数のホルモン濃度を測定します。
- PCODでは、下垂体からのFSH・LH分泌が不十分となり、エストロゲンとプロゲステロンの産生が低下し、結果として月経不順が生じます。
治療法
- 症状に応じた対症療法が中心です。例として、経口避妊薬(エストロゲン・プロゲステロン合剤)を使用し、アンドロゲン産生を抑制します。
- 過剰な体毛には、Vaniqa(エトラジオール)クリームなどの外用薬が処方されます。
- インスリン感受性を改善するために、メトホルミンなどの薬剤が用いられることもあります。
予防・対策
- 定期的な運動、体重管理、低脂肪・低糖質のバランスの取れた食事は、インスリンレベルの安定に寄与し、PCODの進行を抑える可能性があります。
- 早期に医師の診断を受け、生活習慣の改善と必要に応じた薬物療法を組み合わせることが重要です。
