多発性硬化症に伴う腸の症状と対策

多発性硬化症(MS)は、脳と脊髄の神経細胞の髄鞘と軸索が損傷し、神経伝達が遅くなるまたは途絶える進行性の変性疾患です。筋力低下、視覚・聴覚障害、言語障害、排尿障害、めまい、慢性的な疼痛などが現れますが、腸を制御する神経が障害されると、排便に関するさまざまな問題が起こります。

便秘

正常な排便は週に最低2回程度が目安です。MS患者では、神経障害により腸内の食物移動が遅くなる、食事内容が不十分、運動不足(筋力低下や麻痺が原因)などが重なり、便秘が最も一般的な腸の問題となります。

腸閉塞(便秘が長引く場合)

慢性的な便秘が続くと、便が腸内に長時間留まり、水分が過剰に吸収されて硬く乾燥した塊(腸閉塞)になります。筋力低下により排便が困難になり、腹部や直腸に痛み・圧迫感を感じることがあります。直腸圧が高まると、痔核が悪化することもあります。

下痢

下痢は比較的まれですが、特定の食物に対する感受性がある場合に起こります。むしろ、腸閉塞が原因で、閉塞部位の上部に液状の便がたまり圧力が高まると、周囲に漏れ出して水様性の下痢が生じることがあります。

失禁(排便失禁)

神経障害で排便に関わる筋肉の感覚や制御が失われると、糞便漏出(失禁)が起こります。特に、繰り返す腸閉塞により直腸圧が上昇すると、筋肉のコントロールがさらに乱れます。また、便秘解消のために下剤を多用すると、下痢と便秘が交互に現れ、排便コントロールが困難になることがあります。

対策

重度の便秘や腸閉塞がある場合は、下剤や浣腸が必要になることがありますが、下剤の長期使用は逆に便秘を悪化させるため、できるだけ避けるべきです。代わりに、便軟化剤や食物繊維サプリメントを日常的に使用し、全粒粉、果物、野菜など繊維質の多い食品を積極的に摂取しましょう。適度な運動と十分な水分摂取も腸の蠕動を促進し、便秘予防に有効です。

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