アイススポーツにおける理学療法の役割
モナッシュ大学事故研究センターの調査によると、過去3年間で氷上スポーツの怪我の最多はアイススケートで、転倒が主な原因となり、下半身の負傷が最も多く報告されています。怪我の回復や再発防止のために、理学療法が重要な役割を果たします。
理学療法士の資格と教育
理学療法士になるには、大学卒業後に認定された大学院課程を修了する必要があります。修士課程は約2〜2.5年、博士課程は約3年で修了します。学習内容は生物学、解剖学、生理学、バイオメカニクスなどです。全米理学療法教育認定委員会(CAPTE)の認定を受け、国家試験に合格することで各州で実践できます。
アイスホッケー
高速で展開するアイスホッケーでは、衝突による怪我が多く、膝や肩の捻挫・離脱が主な症状です。怪我直後は氷や電気刺激で痛みと腫れを抑え、徐々に関節可動域訓練、ストレッチ、筋力強化を行います。特に有効なストレッチとして、横方向リーチストレッチと膝立ちかかと落としアキレス腱ストレッチがあります。
カーリング
カーリング選手はスイープ動作で肩・膝・背中に負担がかかります。特に上肢の反復使用と膝・背部の屈曲が原因です。また、ストーンを投げる際には股関節・肩甲骨・上背部の柔軟性が必要です。理学療法では、ローテーターカフストレッチや肩リーチストレッチなどで可動域を拡げます。
フィギュアスケート
ブーツ(スケート靴)が原因で、腱炎、ストレス骨折、膝・股関節・すねの痛みといったオーバーユース障害が多く見られます。理学療法では、関節可動域の拡大と筋力強化を中心に指導します。慢性膝痛には腫れ・痛みの軽減とストレッチが効果的で、カーフコンプレックス(ふくらはぎ・ハムストリング・股関節のストレッチ)が推奨されます。
スピードスケート
短距離スピードスケートでは、膝・足首・脊椎・大腿部・鼠径部の怪我が多いです。特に足首の内側への過度なロールが続くと、脛骨後部筋(後脛骨筋)が劣化しやすくなります。理学療法士は適切なストレッチ法と、損傷部位を保護しながらの筋力強化を指導し、再発防止を図ります。
