コエンザイムQ10の健康効果
歴史
1957年、米国の生物学者フレデリック・クレインが牛心臓ミトコンドリアの実験で初めてコエンザイムQ10(ユビキノン)を単離しました。翌年、メルク社のカール・フォルカーズは発酵法を用いて初めて合成CoQ10を製造しました。その後、1980年代から心臓や全身の健康への効果を調べる臨床研究が進められています。
製造・合成
CoQ10は人体内でアミノ酸チロシンから段階的に合成されます。この過程にはビタミンB2、B3(ナイアシン)、B5(パントテン酸)、B6、B9(葉酸)、B12、ビタミンCなどが必要です。市販のサプリメントは主に発酵プロセスで製造されますが、米国食品医薬品局(FDA)は製造方法を規制していないため、製造基準は統一されていません。
心臓の健康
体内に約2グラム存在するCoQ10の大半は心臓に集中しています。CoQ10が生成するATPは心筋のエネルギー源となります。そのため、サプリメントでCoQ10を補給すれば心不全の予防や心機能の改善につながると考える人もいますが、米国心臓協会は現時点で明確なエビデンスを示していません。
がん予防と抗酸化作用
いくつかの臨床試験で、CoQ10は抗酸化作用を示すことが報告されています。抗酸化物質は細胞内で発生する活性酸素(フリーラジカル)を除去し、DNAや細胞膜の損傷を防ぎます。これにより、がんリスクの低減が期待されます。また、がん治療に用いられる一部の薬剤による心臓障害を軽減する可能性も示唆されています。
適切な摂取量
CoQ10は経口サプリメントが一般的で、1日あたり30〜90 mgが目安とされています。静脈投与も可能ですが、日常的にはカプセルやソフトジェルが用いられます。現在のところ、CoQ10の過剰摂取による毒性は報告されておらず、副作用はほとんどありません。
