マイクロサテライト不安定性検査の活用とリンチ症候群(HNPCC)診断

私たちの細胞には、損傷したDNAを修復する遺伝子が存在します。これらの遺伝子が変異すると、マイクロサテライト(DNAの繰り返し配列)の長さが異常になり、マイクロサテライト不安定性(MSI)と呼ばれる状態が生じます。MSI の検査は、遺伝性非ポリポーシス大腸癌(HNPCC、別名リンチ症候群)のリスクを評価する重要な手段です。

HNPCC(リンチ症候群)とは

HNPCC は、DNA 修復遺伝子のうちの一つが変異していることで発症します。修復機能が低下すると、時間とともに多数の遺伝子変異が蓄積し、腫瘍形成につながります。HNPCC 患者の約 90% は MSI を示すため、MSI 検査はこの疾患の診断に有用です。

検査のタイミング

家族歴に HNPCC がある場合、医師はまず MSI 検査を実施します。主に大腸組織や子宮内膜組織のサンプルが対象となります。

検査の精度

MSI 検査だけで全ての HNPCC 関連腫瘍を捕捉できるわけではありませんが、見逃し率は約 10% にとどまります。他のスクリーニング法と組み合わせることで、がんの早期発見率は大幅に向上します。

家族歴が強い場合の追加検査

家系に HNPCC のリスクが高い場合、MSI 検査が陰性でも DNA 修復遺伝子の変異を調べる遺伝子検査を実施します。これにより、MSI 検査で見逃された 10% のケースもカバーできます。

遡及検査(レトロテスト)

すでに HNPCC 患者が亡くなり、検体が残っていない場合でも、故人の脳組織や他の組織を遺族の同意のもとで採取し、MSI 検査を行うことが可能です。これにより、家系全体のがんリスクを早期に把握できます。

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