遺伝学の基本プロトコル
ゲノムDNAは細胞が生物として組織化するための設計図です。DNAはアデニン、グアニン、シトシン、チミンという4つの窒素塩基が繰り返し並んでいます。研究者はヒトを含む多くの複雑な生物の全塩基配列(ゲノム)を解読しています。ゲノム配列決定には、糖尿病、アルツハイマー病、がんなどの遺伝性疾患の原因探索や、種間比較による系統樹作成など、重要な目的があります。研究目的に関わらず、基本的な遺伝学プロトコルは共通です。
DNAの抽出(細胞からのDNA分離)
遺伝子研究では、細胞から純粋なDNAを抽出する必要があります。基本的な手順は、リゾホームなどの酵素で植物細胞壁や動物細胞膜を破壊し、遠心分離で細胞残渣を除去し、DNAは溶液中に残ります。その後、酢酸ナトリウムとエタノールを加えてDNAを沈殿させ、再度遠心分離して純粋なDNAペレットを得ます。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)
特定領域のDNAを大量に増幅するには、PCRが用いられます。純粋なDNA、Taqポリメラーゼ、デオキシヌクレオチド、プライマーを混合し、サーマルサイクラーで温度サイクルを行います。95℃で二本鎖DNAを変性させ、48℃でプライマーが結合(アニーリング)し、72℃でTaqが伸長(エクステンション)します。このサイクルを繰り返すことで指数関数的にDNAが増えます。
DNAシーケンシング
シーケンスデータは塩基ごとに色分けされたバンドとして表示されます。 自動シーケンサーを用いて正確な塩基配列を決定し、正常DNAと異常DNAを比較します。プロトコルでは蛍光標識されたジデオキシヌクレオチド(ddNTP)をPCRに加え、ランダムに伸長が停止するようにします。各塩基は異なる色で検出され、電気泳動でサイズ別に分離されたフラグメントはカメラで撮影され、コンピュータで解析されます。
ジェノタイピングとDNA指紋鑑定
DNA指紋鑑定は遺体の身元確認に利用されます。 ジェノタイピングは、ある個体のゲノムの特定領域を他の個体と比較し、PCRフラグメントサイズの微小な違いを検出します。蛍光標識プライマーを用いたPCR産物を自動シーケンサーでサイズ分離し、デジタル画像で記録します。法医学的な個人識別、親子鑑定、疾患原因遺伝子の検出などに活用されます。
