酸性染色法(酸速染色)の概要と手順
酸性染色の目的
酸性染色は、酸速染色性微生物と非酸速染色性微生物を区別するための手法です。酸速染色性菌は通常の染色では色が付かず、顕微鏡観察が困難です。酸速染色により、これらの菌を可視化し、HIV 患者など免疫低下者の感染状況を評価できます。代表的な対象は結核菌(Mycobacterium)やノカルジア属(Nocardia)です。
染色手順の概要
酸速染色には主に3つの方法があります。各方法は、脂質が豊富な細胞壁を持つ菌でも染料が結合できるよう工夫されています。
Ziehl‑Neelson 法
- カーボールフチシン染料で標本を染色し、加熱して染料を細胞壁に浸透させます。
- 加熱後、メチレンブルーで背景を染色します。酸速菌は赤く、他の菌は青く染まります。
Kinyoun 法
- 加熱を行わず、濃度の高いカーボールフチシン染料を使用します。
- 酸速菌だけが赤く染まり、非酸速菌は別の染料で対照的に染められます。
蛍光染色(フルオロクローム染色)
- 酸速菌に蛍光染料を結合させ、蛍光顕微鏡で観察します。
- 酸速菌は特有の蛍光を示し、非酸速菌は染色されません。
実施タイミング
主に結核菌や関連する非結核性抗酸菌の感染疑いがある場合に用いられます。特に免疫抑制状態(HIV/AIDS など)の患者で、結核様症状が現れた際に診断補助として利用されます。
